まさかの、

ゾーラ街に戻り、ギルドで報酬を受け取ろうとしようと入ったら、ミルが座っていた。


 「お前ら、あの化け物倒したんだってな」

 「俺達じゃ無い…スゲー奴がいたんだよ」

 「そうっすいたんすよ」

 「分かってるさっきここに来た。」


 ここに来ていたのか、しかももうこの場にいなかった。

 もう少し話してみたかったのだが、チームを組んでるって言ってたし、忙しいんだろう。

 こんな木端の俺なんか相手にする暇はやっぱり無いか、、


 「ミルは何してたん?そこに座って」

 「ここに来て、ここギルドは小さくて等級の高い人がいなかったらメガスライムの巨大化の話が聞こえて来てな

  討伐されたって聞いて安心した」

 

 正直間に合わないと思ってたから、あんま期待はしていなかった。そこまで悪いとは思ってない。


 「取り敢えず換金しましょう」

 「そうだな」


 「十二匹で銀貨一枚と銅貨四枚です」

 「すいません銅貨で受け取れないっすか?」

 「構いませんよでは二十四枚です」

 「ありがとうございますっ」


 

 「もらって来ました はい、これ」

 「ありがとう でもこんなにもらっていいのか?

  二人が結構倒したモンスターだろ?」

 「大丈夫っす、レイがいなかったら死んでたんで、

  あと、こっちではこれだけでも大金なんで、こっちこそ大助かりっした」

 「助かった さっきも多分レイが守ってくれたんだろ?」


 ミルはカノンの実力を分かっていない。

 多分カノンはミルが思っているより、強い。


 「そんな事ないぞ カノンは強い」


 そう言って俺はギルドで自分の報酬を受け取りに行く。

 「依頼の受け取りです」

 「三匹ですね銅貨六枚です」

 「ありがとうございます」


 二人のおかげでこの依頼だけで十六枚の稼ぎが出た。無一文だった俺からするとこれははデカい。

 

 「ご飯でも行くか」

 「レイはどうするっすか?」


 カノンに突然夜飯のお誘いが来た。

 これは嬉しい、、でも今日は金がねえ、あるけどねえ

 でもこういう付き合いをしないと、また一人になる。

 そんな不安もあって…

 「ついて行ってもいい?」とよそよそしく、聞いてみるが

 二人とも全然オッケーだった。

 ミルには何でそんな距離を感じてんだ?見たいな事を言われたが、「こういう奴なんだ」と言ったら、「大変だな」

とだけ言われた。


 夜ご飯は少しだけ金を使って贅沢をした。

 何より新たな世界に来てから初めての酒を飲んだ。

 正直、前世の酒、ビールの方が数段美味い、それでもこの感覚、疲れが一気に解消される感覚を思い出してしまった。

 嬉しくもあり、不安もある。

 その後はよく分かんない話とか、今後はどうするのかを酔いながら話した。


 「俺はこのままSランク冒険者になってモテモテ富豪生活をする〜」

 

 カノンは酒が弱かった。一杯も飲み干してないのにもうベロベロに酔っていつもの喋りが出来てない。


 「バカな事言って、恥ずかしいわ」

 

 それに比べて、ミルは酒が強い。

 かなりのペースで飲んでいるが、一向に素面と表情に変化を見せない。

 言葉も変わってない。


 「本当に帰るの?」

 「勿論だ、ちょっとした出稼ぎで来ただけだからな

  また無くなったら来るかも知れないが、その時にはレイはAランク位にはなってんのか?」

 「Sになったるわ」

 「おいおい お前まで酔ってんのか困るぜ」

 「悪いな 全然、素面だ」

 

 明日朝にはこの街を出るとの事だったので思ったよりは早く食事を終えた。

 宿はまさかの有料!

 さらに俺もついでに一泊させてもらえる事に、ミルさんマジ感謝。


 ベットはシングル一つとダブル一つだった。

 シングルで良いと言われたが、自分がシングルなのは図々し過ぎると思い、流石に譲った。


 カノンとダブルで寝る事になったが、めちゃくちゃに酔ってるから暴れないかだけ少し不安だ。

 「暴れたらごめんねぇ」

 

 その言葉が余計に俺を不安にさせる。

 何か起きるかと思ったが特に何も起きず、カノンはすぐに寝てしまった。


 可愛いし、寝顔までも可愛いが、普通に男だ。

 顔も小さく、手も小さいけど男だ。

 それなのに少しドキドキしてしまった自分が恥ずかしい。

 

─────翌朝


 「ありがとー俺達はこれで帰るっすけどまた一緒にやりましょう!」

 「またな 頑張れよ」

 「そっちこそ程々にな」


 俺は見えなくなるまで手を振って別れを見送る。

 冒険者になって初めてチームみたいなのを組んだ依頼だったが、結構良かった。

 俺もチームを組みたいと思ってしまった。

 でも、今回みたいに同い年で、話しやすい仲間じゃないとな、そんな条件が高いと駄目だ。

 こんな都合の良いDランクは邪魔だよなあ。


 「依頼、大丈夫か?」

 「ごめ……理そう」

 「すまんかったな無理させて」


 ルドが昨日、魔術の使いすぎで、疲れ果ててしまっている俺が悪い。今日は運動を控えよう。

 今日はギルドの中で椅子に座りながら、本を読む一日を過ごす事にした。


 「すいません昨日の巨大化したメガスライムを倒した方ですよね」


 おっとさらにイベントが発生したぞ、そうです私が巨大化したメガスライムの討伐をアシストした者でございます。


 「ええそうですが、何か」

 「昨日の依頼で昇級条件を満たしているとの事でしたのでDランクでしたよね。」

 「はい」

 「そうしたら昇級が可能なのでCランクに上がりますか」

 「勿論させていただきます」



 まさかのCランクになりました。

 嬉しい!

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