成り上がり系主人公
「冒険者か?」
横から声が聞こえる。
恐らく俺にかけた声だろう。まだ俺と確定してないから、声の方向を向いてみる。
すると、「こっちこっち」と手招きされた。
やはり俺にかけた言葉だった。
「何ですか?」
「何歳?」
「15歳だよ」
「……15です」
「何で今から冒険者始めるんだい?学校とかあるのに?
どうしてなんだい?」
結構初対面の割にデリケートな話を聞いてくるでは無いか、俺は学校を通ってない、(金銭的な理由)だから問題はないけどね。
「学校は行きたくないです」
これは俺の本音だ。
今の俺は実力が未知数だから何とも言えないが、前世で俺は中学までは運動も勉強もかなりのレベルでこなして来たつもりだ。
でも高校で上には上があるってなった時、急にやる気を失って、いつしか「頑張る」という事のやり方を忘れていた。
「人それぞれだからな……」
おー
意外に聞き分けだけはちゃんとしていた。
少し重い感じになってしまったが、男は優しく俺の肩を掴んでくれた。
優しさはいいが、そろそろ離して欲しい、肩を掴みすぎだろ。
「よし、俺が君の
「え、いや大丈……」
「遠慮するな、硬貨はいらんぞ強くなって欲しいだけだからな」
この言葉は恐らく本心だろう。この男の言葉には、どこか不思議な力があるようだ。
ありがたく教えてもらうか、でもまたこの人を見て諦めてしまうかもしれない。出来れば1人で精進していきたいのだが、、、
大丈夫だ。
俺は努力するんだろ?人よりも何倍も。
「じゃあよろしくお願いします」
「うむ!俺の名はガイアだ。でも師匠と呼んでくれ」
「分かりました。師匠と呼ばせてもらいます。
これからお世話になります。レイです。」
これは好意としてありがたく受け取ろう。
教えると言っても、何を教えるんだ?剣術か?魔術か?
しかし魔術は前の俺は扱えないのだそう。
かと言って諦めたくはない、強くなるには戦闘手段が多い方がいいに違いない。
「ここらは狭い、、場所を移そう」
村から少し離れて、一軒家以外何もない広場みたいな場所に着いた。
「あの、、ここに剣を変えに来たのですが、、」
「そうか!じゃあ」
俺が剣の交換をしたいと言ったら、師匠が、魔術で剣を出した。
もしかして、この人は凄いのでは?と思った。
「これをレイ君にあげよう。大切にしてくれ」
「え、いいんですか?」
「ああ!これは「君だけ」の物だほら」
そう言って剣を俺に見せて来た。
見てみると、刃に「R」と大文字で彫られていた。
そこまで出来るのか、凄いな魔術は。
「どうやって、、」
「これは俺にしか出来ない特別な技だからな!」
「じゃあお願いがあるんですけど、、」
俺は師匠に「L(ルド)」の文字を彫った剣を作ってもらおうとしたが、やんわりと断られてしまった。
しかし、
「俺より強くなったら考えてやる」
「ありがとうございます」
師匠はここにも、優しさが出ていた。
本当に出会った人がことごとく良い人ばかりでありがたい。
これなら俺も頑張っていけそうだ。
「レイ君、取り敢えず一戦しよう!」
「え、あっ」
俺は反応的に構えていた。
誰の目に見ても明らかな程に構えがぐちゃぐちゃだ。初心者とかそんなレベルではない。
アニメの見過ぎな厨二っぽい構えだ。
「その構え、、」
師匠は俺に容赦無く襲ってくる。
まあ少しは手加減してくれるだろう。
俺は剣を振り上げる。
(あれこれで斬ったら死んじゃうんじゃ?)
と躊躇ったその
「ぐっ、痛えぇぇ」
俺は大声で叫ぶ。流石に本気斬るとは思わなかった。
いや、少しは優しく切ってくれたのか、とは言え俺を斬った。このままじゃ俺死ぬぞ?
「ハハハ、まあ初めてだからな仕方ないな」
「え……」
「今、俺を斬るの躊躇っただろ?」
「うっ」
この後もたった一瞬の試合の内容を話す。
試合時間1分もない試合にもここまで考える事があるのかと、俺は脱帽した。
ここまで考える様になれば、師匠に勝てるのか。
ポジティブシンキングだ。
「こうならないと」じゃなくて、「これが出来れば」で考えろ、明確な目標が見えた。
「流石に本物の剣で斬り合うのは危ないな
明日、木刀を貰いに行くから、さっき言った事を意識して素振りをしといてくれ」
「分かりました」
今日は今の自分の実力が、分かった。
まあ、最底辺ってとこだ。
成り上がり展開も悪くない。
これから頑張っていこう。
最底辺から最高峰へ。
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