風俗嬢に恋をして

沈黙は金?

第1話

 もうだいぶ前の話になるのだが、新宿歌舞伎町にあったSという風俗店の香織という女に俺は惚れた。身長が168センチあるその女は、ショートカットの髪を金色に染めてきつい顔付きをしていたが、スタイルは俺の勝手な解釈だがモデル並みで、肌は小麦色に焼けていてまさしくギャルそのものだった。この女曰く、年は22歳だそうだ。

 この女目当てに何度もSに通った。胸の大きさは、多分Cカップ、お尻がキュッとしまっていて、その裸体を見るだけで俺の下半身は反応していた。

 一緒にシャワーを浴びて、それだけでも楽しいのに、ベッドに転がり込んで激しく愛し合って至福の一時を過ごす。日常のストレスをこの女に癒やしてもらうのだ。

 俺は、いつの間にかこの女に惚れていた。現実は、お金を介した関係なのだけれども、俺の気持ちはこの女にそれ以上の感情を求めていた。

 毎日でも会いに行きたいのだが、お金が続かないのでそれは不可能である。東京で押し潰されそうになると、この女が頭に浮かんでくる。この女とSで会う時は、何だか素直に話が展開し本当に楽しい時間を過ごすことが出来た。

 時間が来て、別れ際にいつもすることがある。何をするかというと、堅く抱きしめあい軽く口付けをしてお互いの気持ちを確かめ合うのである。

 そんな、歪んだ男女の関係なのだが、俺は満足していた。最後に、ギュッと抱きしめあうことで、俺は殺伐とした東京の中で生きていく勇気をこの女香織から貰うのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

風俗嬢に恋をして 沈黙は金? @hyay

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ