第8話 今さらだけどこの世界ヤバくない?
俺は女を監禁陵辱「転生者を捕らえろっ!」……ッ!?
俺はいつの間にか大きな部屋にいて、鎧を着た奴らに槍を突き付けられている!?
「は、離せっ!? 俺は魔力チートの転生者でっ!?」
「聞いておる! ゆえにわれらが貴様の魔力だけを使ってやる! 貴様らなんぞに自由行動など許す意味もない!」
『ああっ!? 転生者が魔導兵器の生体パーツにされてしまうのじゃ!?』
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寺のお部屋のモニターには映るのは、なにかのシールを取り付けられて動かなくなった転生者の男の姿だった。
「三日どころか三秒だったのじゃ……」
「まさかここに来て最速記録更新とはね。流石のボクも予想外だったよ」
新米女神ちゃんが露骨にがっかりしているのを、ヴィナス様がよしよしと慰めている。
「国の転生者への扱いがあまりに非道に過ぎますね。これを解決しなければどうにもならないかと」
俺もマヘキさんの意見に賛成だ。
転生者が悪人なのを知ってるなら分からなくもない。でも知らないはずなのにあの扱いはだいぶ酷い。
「むむむ! 思いついたのじゃ! 王城に転生者しか使えない強い武器を用意するのじゃ!」
「新米女神ちゃん頑張れ! でもそんなに強い武器なら代償はどうするの?」
ヴィナス様の疑問に対して、新米女神ちゃんは少し悩んだ後に。
「この世界で三年生存してる者しか使えないようにするのじゃ! 半日が最高記録のこの世界なら試練として十分なのじゃ!」
おかしい。ただ生きるだけなのに、ものすごく難しい試練のように聞こえる。
新米女神ちゃんは机ディスプレイを操作して、早速その武器とやらを王城に送ったようだ。
相変わらず行動がものすごく早いが……。
「ちょっと待って。思うんだけどさ、このまま王城に転生者を召喚するのはよくないんじゃないか?」
「のじゃ!? でも今までの最長生存記録は、王城で叩きだされたのじゃ! 森だと五分も生き残れないのじゃ!」
新米女神ちゃんの気持ちはわかる。
これまでで最も成果を出していたことに、疑問を呈するというのは少し怖い。
でも最長で半日しか生き残れてないところに疑問をもって欲しい。
「でもさ。さっきからこの王城というか、王の行動があまりに非道過ぎない? 生体パーツとか普通ならしないと思うんだけど……」
「それは私も思っていました。王だから非情な判断を下すこともあるでしょうが、いくらなんでも強引に過ぎる気がします。例えば転生者と交渉するなどの選択肢もあるでしょうに」
マヘキさんも俺の意見に賛同してくれている。
やっぱりあの王少しおかしいよな。俺は異世界転生作品をかなりの数見てきて、王城召喚系統もいくつも知っている。
それでもあのレベルの奴は聞いたことないぞ。いや創作話を例えにするのもなんだけどさ。
あの王に不信感があるというのが正直なところだ。
「提案なんだけどさ。もう一度あの世界に行ってみない? 今度は王城の周囲あたりを捜索して、あの王の人柄を確認してみるとか」
王城召喚が成功できるならば、転生者の平均生存時間は跳ね上がるだろう。
だがもしあの王が悪逆非道な類であるならば、王城召喚はもう諦めた方がいい。流石に生体パーツとかヤバいし。
「う、うむ。確かに情報収集は必要かもしれぬ。我があの王に神託を下しても、あいつ不遜な態度取ってるしのう」
「不遜な態度というと例えばなんですか?」
「我が転生者を送ると言ったら、そんな者より魔王を神力で殺せよとかじゃ」
「まあ確かに神託下すより自分でやれという話ですよね」
正論ではある。でも神様相手に偉そうな王だな……やっぱりヤバイ奴なのかもしれない。
「それによく考えたら飛ばす先の世界情勢について、あまり知っていないのもヤバイよな。政治形態とかすらあまり分からないレベルだし。新米女神ちゃんはどれくらい知ってるの?」
「魔王と人間が争っているのじゃ!」
「それ以外は?」
「特に知らんのじゃ!」
これを機に異世界情勢を知る必要があるだろう。うん。
「わかったのじゃ! じゃあ異世界に飛ぶのじゃ!」
こうして俺達は異世界に再び転移することになった。
気が付くと俺達は中世ヨーロッパ風の街にいた。舗装された道を馬車が走っていたり、古風な服装の者が歩き回っている。
「むう? なんだあの奇怪な三人は?」
「はて見たこともない服装ですなぁ」
「なんと美しい少女だ……私の嫁にしたい!」
俺達の現代地球の服装が浮いているようで、周囲の街の人達に注目されてしまっている。
三人と言っているのはたぶんだが、ヴィナス様がカウントされていないと思われる。
彼女は見る人の理想の姿に変わるので、服装もこの世界に見えているのだろうたぶん。
「新米女神ちゃん、なんとかならないかな? この服装だと目立って仕方ない気が」
「む? 別に目立っても問題ないのじゃ。この世界由来の者は我らに危害を加えられないのじゃ! それよりも情報収集じゃ!」
新米女神ちゃんは長い髪を、地面に引きずりながら走っていく。いやよく見たら髪の毛が僅かに浮いてる……?
あれも神、いや髪の力なのだろうか。
そんなこんなで新米女神ちゃんについていくと、街の広場らしき場所に出た。
そこで行われていたのは。
「貴様ら! 王の悪口の噂を喋っていたな! それは処刑に該当する罪だぞ、捕縛する!」
「ち、違う!? そんなの言ってない!?」
憲兵が平民らしき男を捕らえている光景だった。
悪口の噂を喋ったら処刑ってエグイ……。
「黙れ! 王に不平を言う者は、一族郎党処刑の対象だ! だがまあ、口が滑ったということもある。心づけ次第では許されるかもしれぬな」
「そ、そんなのないっ……!?」
「ならば処刑だ! 地下牢に連れて行く!」
「た、助けっ……!?」
哀れにも連れていかれる平民の男。
「新米女神ちゃん、なんとかならないかな?」
「無理じゃな。我らは異世界から影響を与えられないが逆もまた然りじゃ」
「この光景だけ見ると、法関係が腐っているように見受けられますね。ここはもう直接、国王に話をしてみるのがよろしいのでは? 我々はこの世界の影響を受けないなら安全ですし、連れていかれた彼の助命嘆願などもできるでしょう」
「そうだな。新米女神ちゃん、行こうよ」
「わかったのじゃ」
こうして俺達は王城に向かうことになった。
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レビュー頂きました、ありがとうございます!
この作品、少し特殊であまり読者の方の目を惹かなさそうなので、
こういったレビューは宣伝になるのでありがたいです!
王城召喚はすごく考えられたよい設定なんですよね。
国規模の召喚なので説得力も上がるし、公権力で身分も保証されるし、異世界で生きて行く環境も勘単に用意できる。
でも新米邪神ちゃんにかかればこの通り(
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