第10話 Cランク攻略
「よし。気を取り直して攻略を続けようか。そもそも何の話してたんだっけ?」
雑談を終え攻略に戻ろうとするがそもそもなんで足を止めていたんだろうか・・・
「樹はモテないって話でしょ。」
「いやいや、思い出した。魔鉱ちょっと持ってくれないかって話だったろ。」
「う~ん。5kgくらいなら持ちながらでも戦えるか・・・・?」
「ほんっと貧乏性なのね・・・」
「いや、そこにあるの魔銀みたいだから5キロ採れたら5千万くらいにはなるんだぞ・・・」
「装備も今後必要になるし金に困ることはあっても余ることは無いからな。」
「はいはい。分かったわよ。私が持ってあげるから。」
「頼めるのか!悪いな。」
俺は採掘道具など当然持ってきていなかったので適当に魔法を放ち鉱脈から魔銀の塊を取り出す。
「っと、こんなもんか。一部細かくなってしまったから大きな塊いくつかでいいぞ。」
「おおきなこれだけでいいの?」
「は?」
今何が起きたのか。葉月は一瞬にして魔銀の塊数個を消した。
「え、収納したけど?」
「『収納』!?どういうことだ!?」
「ラノベやアニメでよくあるやつだから分かるでしょ。」
「いやいやいや、現実でそんな魔法も道具もまだ存在してないんだがどうやってるんだ!?」
「あ~、理屈も分からないし私以外できるか分からないけど。私ってダンジョンコアから生まれてるわけだよね。」
「ああ、それは知ってるし何度も話したよな。」
「今いるこのダンジョンのこの空間ってダンジョンコアが生成してるみたいなもんでしょ?」
「私も疑似的にそれを作ってその空間に放り込んでるのよ。」
「・・・・それって相当やばいぞ。絶対に誰にも言うな。」
「ちなみに、容量とか有機物とか、収納時の時間経過とかどうなんだ?」
「ダンジョンと同じ程度の容量っていいたいところだけど他で色々使ってるからたぶん容量は50mプールくらい?」
「生き物も入ると思うけど気温とか酸素があるかとは分からない。収納後も当然劣化もするよ。」
「あとは入れたもの自在に取り出したりはできないよ。取り出すときは全部一気に。」
「ダンジョンコアが破壊されたら中にいる人全員一気に外に出されるでしょ。」
「不便さを差し引いてもすごいな・・・」
「そういうことなら折角だからこの辺の小さな塊も全部収納してくれないか?」
「りょーかい。」
後ろから採掘者が追いついて来ても面倒なので容量一杯とは欲張らず魔銀をある程度収納すると攻略を再開した。
スライムやウルフ、ゴブリンなどを相手に順調に進んでいたがオーク3匹相手に手間取ることになる。
オークの構成がメイス、斧、弓でまずは弓から仕留めようと距離を詰めるも近接2体に横から攻撃を受け、
由美オークへ攻撃できずに回避に移る。それでも回避の際にメイス持ちオークにファイアボールを放ち直撃させるが、
ダメージを与えただけで倒すには至らず追撃される。近接2体で間断無く攻撃し、
こちらがわずかな隙に攻撃しようとしたところを弓を撃たれ攻撃を阻害される。
それでも何発かファイアボールを直撃させ消耗はさせているが致命傷には遠く動きが鈍くなってすらいない。
「火力不足か・・・・」
「一人で無理なら手伝おうか?」
「・・・・いや、いい。」
葉月が気を使って言ってくるがCランクダンジョンの雑魚相手に苦戦するようでは話にならない。
勿論、武器があればもっと早く勝てるのだが今は将来を見据え魔法を鍛えるべきだ。
全弾命中を考えていたが考えを変えて距離を斧とメイスが交互に振られた好きに後退し距離を取る。
すかさず矢が飛んで来るが予想通りなので簡単に躱す。
ファイアボール単発を当てていくのをやめファイアアローをひたすら放つ。
精度を放棄し10本単位を10セット 100本の炎の矢を放つ。
オークは体を屈め防御態勢をとり被弾面積を小さくすることで半分程度の直撃で済んだ。
だがファイアボールより火力の落ちるアローとは言え、連続で何十発を受けられるわけも無く、
2体のオークが霧散していく。
残り1体となった後は一方的だった。距離をつめて同じ場所に連続してファイアボールを叩きこむ。
4発目でようやく弓オークも倒すことがでできた。
「もっと強い魔法使ったら?ファイアランスだったら一撃じゃない?」
「たしかにそうだけどアロー系とボール系の威力、速度、制度は磨いておきたい。」
「ランス系は射程が短いから汎用性は無いだろ。」
「でもある程度強い魔物だとほとんど効かないでしょ?」
「たしかに効果は薄いけど属性を考えて使えば足止めにはなるからな。」
「まぁでも勿論全部の魔法を使っていくつもりだ。どの魔法も使えるにこしたことは無いから。」
その後はアイスアローにアイスボールに切り替え攻略を進める。
やはり一撃で倒せない魔物が増え、一体につき数発ずつ放ち倒していく。
「そろそろ魔力が厳しいな・・・まだまだマナのキャパが少ないな。」
「ボス前に大丈夫?私が倒そうか?」
「いや、ファイアランス撃つくらいの魔力はあるからそれで仕留める。」
ボスのいるエリアに入るとハルバートを手にしたケンタウロスがすぐに俺達に気づき一気にその四本の足で迫って来る。
「ケンタウロスか!ついてないな!」
ボスはオークの上位種と思っていたので想定外だった。
耐久力はオークの方が優れるがそれほど素早くは無いので対応しやすい。
ケンタウロスは小回りこそきかないが瞬発力は高くリーチも長いうえ接近しての蹴りも脅威だった。
間合いを一気に詰めたケンタウロスからハルバートが叩きつけられる。
回避するものの砕けた石畳の石が礫のようにいくつか体にぶつかる。
「チッ、簡単な防具でも装備しときゃ良かった。」
身体はマナで強化しているので大きなダメージを受けたわけでは無いが、
それでも着ているのは普通の服なのだ。それなりに衝撃が伝わってくる。
それでも一撃で終わらせようと懐に入りファイアランスを放とうとするも、
ケンタウロスから膝蹴りが飛んで来る。
膝蹴りを手で受けて勢いを利用してケンタウロスの頭を越えて背中へファイアランスを放つ。
だがケンタウロスは避けようとも防御しようとせずに後ろ脚を跳ね上げ攻撃に転じた。
空中では回避はできず防御するかこのまま魔法を撃つか悩んだが残りの魔力のほとんどを込め魔法を放った。
それと同時に蹴りがなんとか間に合った腕に直撃し俺は数10m吹き飛びダンジョンの壁に叩きつけられる。
「ガードが間に合わなかったらやばかった・・・」
ケンタウロスも俺もマナを攻撃に集中し防御は捨てた結果、
俺は腕の骨折と全身打撲のダメージを負ったがファイアランスは一撃でケンタウロスを倒すことができた。
「お疲れ様。無茶するわね。」
「ああ、でも今回の攻略でマナのキャパも更に増えたから次はもっと楽になるはず・・・」
「でも何が起きるか分からないんだし装備くらいしっかり揃えたら?今日も結構稼げたでしょ?」
「そうだな・・・ダメージもあるし明日は装備揃えるか。」
「とりあえずヒールするよ。」
葉月は俺が返事を返す前にヒールをかける。
痛みが軽減し擦り傷や打撲が治っていく。
「骨折治すにはヒールしばらくかけ続けなきゃ無理ね。」
「ああ、とりあえずダンジョン出てからでいい。ありがとう。大分楽になった。」
「自分でヒールしようにも魔力使いきって今日は無理そうだから助かった。」
俺達はボスの魔石とコアの魔核を回収すると攻略を終えた。
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