第7話 ダンジョン効率プレイ
「よし今日からCランクダンジョンに入る。」
「お~」
パチパチパチと葉月が拍手する。
「昨日は一度葉月の実力を見せてもらおうと思ったけどやっぱり基本俺がソロで行く。」
「Cランクだと撃ち漏らしが出るからその処理だけ頼む。」
「おっけー。じゃあ昨日と同じ魔石拾いながら後ろついていくね。」
昨日あの速さで攻略できたのは魔石の回収をお願いしたのも大きかった。
モンスターを倒して魔石化して拾う。案外手間なのだ。
「当面近接魔法アタッカーをやってみようと思う。」
「ん?どういう事?昨日はファイアアロー上手く遠距離から使えてたけど。」
「ああ、マナ容量を増やすためにはどうすればいいか知ってるよな?」
「モンスターを倒したらその一部のマナを吸収するんだっけ?」
「魔法使う人は魔法を使うことでも増やせるから基本的にはこの2種類?」
「あ、あとダンジョンコア破壊した時もか。」
「ああ、そのモンスターを倒した時はモンスターとの距離が近いほどマナを吸収しやすい。」
「だから魔法は勿論、弓とか銃とかの後衛全般は上がりにくい。」
「あと前衛の物理アタッカーもマナを消費すると魔法職と同じように成長できる。」
「それでモンスターにわざわざ近づいて魔法で倒すの?」
「今だとリスクもあると思うけど大丈夫?」
「やばいと思ったらフォロー頼むよ。俺より強いんだろ?」
「仕方ないわね・・・」
「それに攻撃受けた方が防御も鍛えられるし、回復魔法も成長させられるから被弾も覚悟のうえだ。」
「マナ容量増やしつつ魔法の練度も上げていこうと思う。」
「それと、知ってるかもしれないけど念のため確認しておくぞ。」
魔法は込めるマナの量によって威力などが上がっていくが、
使えば使うほどマナ消費量は減り威力は上がる。ファイアアロー等は一度に撃てる数も増える。
アロー系だと覚えたての場合1本の矢をまっすぐ飛ばす事しかできないが、
雨のように降らせる化け物のような魔法使いもいる。
一本一本の威力や弾速も上がり、誘導性能を持たせることも可能だ。
探索者が職業として認められだした当時、ほとんどが前衛だった。
モンスターを倒していくことで明らかに強くなっていったからだ。
一方で後衛は成長が遅くソロではほぼ活動できない状況だった。
しかし、前衛は死亡率も高く後衛との連携は誰もが望んでいた。
魔法職が増えたきっかけはある魔法職による動画配信講座によるものだった。
そこで生まれたのが魔法の『テンプレート化」だ。
『アロー系』『ボール系』『ランス系』『ウォール系』『ストーム系』など、
魔法をいくつかの系統に分けて誰もが分かりやすく分類した。
魔法の形が個人で全然違うイメージだったのを『固定』したのだ。
それ以降一気に魔法職のレベルが上がった。
攻撃魔法の『イメージ』が定着したことでファイアアローは炎の矢が出ると誰もが認識した。
マナは意識、意思により形を創る。
数千万、数億人の人が認識した『固定された魔法』によって、そういうものとして世界に根付いたのだ。
これにより魔法の習得速度や威力は以前より高まり、
何より低ランクダンジョンでは魔法職の死亡率がかなり低いこともあり人気となった。
ゴブリン相手なら狭い迷宮型ダンジョンでは襲われる前に遠距離から倒せ、
マナが切れたらダンジョンから出ればいいからだ。
一方で安全に遠距離から撃つだけの、『固定砲台』としての魔法使いが主流となり、
特に上位ダンジョンでは使い物にならない有様となった。
日本の探索者はテンプレ型でC~B帯は多く一定の活躍は見せるが、
上位探索者は世界で見ると質も数も人口と比較すると少ない。
回復職は当初よりなろうとする者が非常に多かった。、
主にダンジョンの外で待ち、ダンジョンから出てきた者の傷を治したり、
外科専門の治療院を開く者も多かった。
ただ、本人に戦闘能力が無い場合がほとんどでダンジョンに入って活動する者は極めて少なく、
パーティーを組んで入ったとしてもヒーラー専用の護衛が必要となっていた。
一番必要なのはダンジョン内での治癒であったためダンジョンに入るヒーラーは厚遇され、
パーティーの報酬も活躍に限らず一番多い割合のことも多くあった。
その後、回復職のマナ容量がどんどん増えて行っていたことから、魔法を使えばマナも増えることが検証され、
魔法訓練場が各地に開設されてダンジョン外でも成長が見込めるようになっていった。
前衛職も身体や武器にマナを込めてマナを消費することで同じようにマナを増やせるが、
ダンジョンでモンスターを倒した方がより成長が早く、また魔法職が魔法の練度を上げるように、
前衛も使っていた武器に込められるマナの量が増え威力などが上がることが確認された。
「ということで、接近戦で魔法を使ってモンスターを倒すのが一番成長効率が良いと思う。」
「勿論、何かに特化してパーティーで役割を持っとった方が強いとは思うけど。」
「俺の場合は誰もやってない万能職が俺自身の強みになると思う。」
「前世の時全部が中途半端だったけど今回は全部をAランク級まで持っていく。」
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