第8話(1)

「あたしのガードだって?」

 吐き捨てるように言うバーバラの声に、ベレッタはジロリと睨み

「どうせ、あんたはあんたで動くんだろ?

 何しでかすか分からんババアには目付がいるってもんだよ。」

「ぐ・・・!」

 バーバラは言葉を失った。

 単純に付けるだけなら盗賊に関わるなと言って断る事が出来たのだが、目付と言われると意味合いが大きく変わる。

 監視してやると真正面から言われているに等しい。

 依頼も何もあったもんじゃないだろが。

「ったく、よく頭が回るババアだよ!

 あたしが断ったところで無理矢理くっつけて寄越すんだろ?」

 ベレッタはニヤリとし

「バーバラも頭が回るじゃないか。

 ・・・さて、ケイトにはあたしから言って聞かせるから。」

 ドン!と占い用のテーブルに紅茶の入ったカップを差し出し

「観念して依頼とやらを洗いざらい話しな。」

 まるで取調室の様な雰囲気を醸し出して、改めてバーバラと対峙していた。


 その頃王城では、ケイトの父ヴェスターがラングリッツ室長から応接室に呼ばれていた。

 いつも通りに2回ノック。

「ヴェスターです。」

「入りたまえ。」

「失礼致します。」

 部屋に入ると、席に9人の姿が見えた。

 右側に、エルフ国家マハラティーニから来たスージー含む4名の来賓。

 左側に、御庭番トップ3の3人、女王、そして室長。

 なるほど、用件はこの者らの護衛ですかねえ。

「こちらに座りたまえ。」

 そう言われ、室長と御庭番筆頭の間の席に座る。

 すると、向かい側に座っているスージーが話し出す。

「ご足労頂きましてありがとうございます。

 ではまず簡単にファーストで自己紹介をさせて頂きます。

 私はスージー。

 魔法騎士団次席を務めております。

 私の隣がレミ。

 魔法騎士団第一師団長です。

 その隣がフィリア。

 第二師団長です。

 最後にオリビア。

 騎士団総参謀長です。」

 全員女性。

 魔力は比較的、男性よりも女性が多い。

 その点を考慮すれば、魔法も扱う騎士としての一団の長は、女性がなるのは必然と思えた。

 ヴェスターはそう思いながら和やかな笑みで

「ではこちらも同じように自己紹介を。

 私はヴェスター。

 女王護衛団の総責任者です。

 私の隣がアルフレッド。

 王宮護衛団筆頭です。

 その隣がキース。

 護衛団の序列2位です。

 最後にエルガイ。

 護衛団の序列3位です。」

 こちらは全員男性。

 このトップ3はエルフの国でも有名なのか、皆がゴクリと息を呑む。

 すると今度はオリビアが口を開く。

「最高の実力者を揃えて頂き、ありがとうございます。

 では早速ですが、今回の目的を改めて話させて頂きます。」

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