第2話 第一節 『閉鎖空間領域 高天原学園』


 それはごく平凡な、普通の学園で起きた。

 最近よくニュースでもやっていた事件で『集団神隠し』というものが発生しているらしい。

 原因は分からないがニュースのコメンテーター曰く、


 家庭に何らかの問題が発生した。

  学校での集団ボイコット運動が勃発した。

   生徒達が同時に何らかの問題を起こした為逃走した。


 そんな噂が囁かれていた。

 世の中変わった事も多いものだと楽観視していたが、それがまさか自分に降りかかるとは思ってもなかったのは〝彼ら〟も予想だにしていなかっただろう。





 「はーい、突然ですが高天原たかまはら学園の皆様には今から♪」





 見知らぬ大聖堂に喚ばれた生徒達はキョトンととんでもない事を口にした人物へと目を向ける。

 神々しい光を背景にゆっくりと降り立つ姿に声を出せないでいた。

 小説やゲームでしか見た事がないその存在を一言で表すならば、それは――――。


 「はぁい、ワタクシの名前はレミエルと申しますぅ。まぁ皆様風に言うところのカワイイ〝天使〟ちゃんというヤツですよ」


 美人よりカワイイといった表現の方が正しいと思える天使レミエルは少し微笑むと本題に切り出した。


 「で? さっきの質問ですけどぉ、皆様は『異世界』なんてモノに興味ありますぅ?」


 『異世界』―――――その単語ワードだけで生徒達がざわつき始める。

 現代でもあらゆるメディアで大人気の状況いせかいてんいが今自分達で体験している、それだけで彼らのテンションは最高潮に達していた。

 各々が喋り始める中、レミエルは人差し指をそっと口元に当てしーっと促す仕草をする。

 彼らが静まり返ったのを確認し満足した後、レミエルは両手を掲げ高らかに告げた。


 「さぁ、どうか皆様で世界を変えるお手伝いを――――――御神もそれを所望していますぅ」


 結果、数名の生徒以外は〝違和感〟を覚える事なく目の前にいる天使に是と返答する。

 誰もが彼女? の言葉に疑問を持たなかったのだ。

 レミエルはこう言った。


 ―――異世界への招待券を賭けて試練に挑んでもらう、と。


 その言葉の意味を深く考えず簡単に承諾してしまった彼ら。

 そして、後に





 やっぱり現代こっちがいい―――――『異世界あんなところ』行くべきじゃなかった、と。

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