第28話 ゴブリン襲来2
「ディメンションブレイカー!」
「ディメンションブレイカー!」
「ディメンションブレイカー!」
王都の大通り、ゴブリン達がわんさかと僕達に寄ってきた。こちらから探しに行かなくて助かるけど、コイツらいったい何を目的に王都で暴れているのか不明だ。
隣ではアイシャさんが砕けたカイトシールドをかざし、右手の剣で群がるゴブリンをバッサバッサと切り倒している。
……なるほど。戦略的にゴブリンが何を考えているかは分からないけど、戦術的には何を考えているか僕でも分かった。
巨大メロンだ!
アイシャさんが剣を振るう度に、赤いブレストアーマーがボヨンボヨンと揺れ動く。僕の眼前にいるゴブリンまでもが、そちらの方をガン見している。オイッ!
「ディメンションブレイカーッ!!」
そんな訳で、アイシャさんの巨大メロンを囮に僕はエロゴブリンを無双する。
◆◆◆
「アイシャさん、この辺りのゴブリンは一掃出来ました」
僕達の足元には三十体以上のゴブリンの死体が転がっている。索敵魔法で近くをサーチしても魔物の姿はない。
「300メートル先、沢山の人が集まっている建物にゴブリンが20匹程います。そちらに向かいましょう!」
僕は土地勘がないから、その建物の事は分からないけど、多分避難している人達だ。
「分かった。さっさとやっつけて昼飯にしよう」
街で昼飯を食べさせてくれるお店が有るとは思えないけど、アイシャさんが相槌を打ったので、僕はアイシャさんを両腕で抱きかかえた。
「な、何を!」
慌てるアイシャさんに説明する。
「短転移で飛んで行きます。短転移!」
アイシャさんをお姫様抱っこして、先ずは近くの建物の屋根の上に転移する。そして屋根伝いに短転移を繰り返して、目的の建物が見える屋根へと着いた。
「教会か」
「ですね。中に二百人近い人がいます」
避難してきた市民が教会の中にいるみたいだ。教会は高い塀があるため、塀を上がれない二十匹のゴブリンが正門に集まっている。正門には3人の衛士が奮闘しているが、手傷を負っているためか、振っている剣は精彩を欠いている。
屋根の上にアイシャさんを降ろすと、アイシャさんは躊躇なく屋根から飛び降り、衛士達の前に降り立つ。
横薙ぎ一線で三匹のゴブリンの腹が割かれた。仲間の死を気にも止めず、ゴブリンがアイシャさんに襲いかかる。
半分砕けたカイトシールドで、ゴブリンが振り下ろした棍棒を弾き、鋭い突きでゴブリンの首から剣が生える。剣を引き抜くのに合わせて、カイトシールドをそのゴブリンに叩き付けて吹き飛ばし、後方から襲い掛かろうとしていたゴブリンの出鼻をくじく。
「アイシャ様だ!」
「アイシャ様が来てくれた!」
「アイシャ様ぁぁぁ!」
精彩を欠いていた衛士達の顔に光が戻る。三人の衛士はアイシャさんの脇を固め、ゴブリンの側方からの攻撃に備えた。
アイシャさんの乱撃によるゴブリン殺戮ショーが始まった。
って、僕も見ている場合じゃないか。
「短転移」
アイシャさんから見て右側に群れるゴブリンの後方に瞬間移動する。
「ディメンションランス!」
長いアイテムボックスを使った空間消失現象をディメンションランスと命名した。長さ5メートルの間合いに入るゴブリン四匹の頭、胸、肩口、頭を、空間消失現象で消失させる。
僕の掛け声で、こちらを振り向くゴブリン達。
「短転移」
そのゴブリンの視線の後ろ、アイシャさんから見て左側のゴブリンの群れの後方に瞬間移動。
「ディメンションランス!」
更に五匹のゴブリンが倒れる。アイシャさんは既に八匹のゴブリンを倒し、残りは三匹。
「ディメンションブレイカー!」
踏み込んで一匹。アイシャさんの直刀がゴブリンの首を横薙ぎして一匹。最後の一匹が逃亡して背中を見せる。
「ディメンションランス!」
そのゴブリンの胸に風穴を開けて、教会前での戦闘は終了した。
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