第47話 文化祭らしいよ知らんけど
「よし、とりあえず…」
あ、ギャルゲーアイが起動する。
1 客にきてもらえるようにビラくばる。
2 それより佐藤と雑談する。
3 まず自分が読む。
ふむ……仲良くなるならどれも悪くなさそうだけど。
ただ3はタケ、本とか読むやつじゃないし向いてなさそう。
「とりあえず読んでいい?」
「あ、ど、どうぞ…」
マジ?読むのか…
あまり分厚くないしページ数はそうでもなさそう。
って当たり前か。文化祭で長々とした長編読む人なんていないもんね。
しばしの静寂。
そして一通り読み終わり、タケは……
「……悪いんだけど、よくわかんないや」
え、正直な感想かい。嘘でも褒めないの?
「で、ですよね…所詮趣味ですし」
「いやいや。ただ、おれの好みの作風ってわけじゃないからだし、そもそもろくに本とか読まない奴の意見だぜ?」
「でも」
「だからさ、他にも見せてよ。そして感想書くからさ。後、これ来てくれた人に無料で配らない?」
「く、配る?」
「だってさ、文化祭来たら色々回るだろ?でも小説見てたらヒマなくなる。だからさわりだけ見て興味持った人には配ってさ、後で感想もらおうよ」
……タケのくせに理にかなってる。
「そもそも出し物として小説出した理由が人に見てもらいたいからだろ?」
「は、はい」
「なら配るべきだって。それで後日読んでもらってから感想募ろう。いっぱい用意してるんだからさ!」
小説の数はたしかにある。
ジャンルも色々あるし。
「そうだ!ジャンルだけでなく作風とかも説明できるように今から全部読むよ!」
「え?」
「任せてって」
……正解選択肢を選ぶと、なんとなくこうすればいいって行動が頭に浮ぶらしい。
もしかしたらその影響でタケはうまい事言えてるのかも。
でも、けしてそれだけじゃない。タケはタケなりに小説を他の人に読んでもらいたいから出た行動のはず。
…ここは褒めてやるべきかもね。
◇
それから速読してタケは良かったとことかを不器用なりにあげて、小説の宣伝文句を隣に置いた。
影響あったかは分からないけど、小説に興味ある人達が立ち寄ると、少しだけ手にとってもらえた。この場で読まずとも、持ってって貰えればいつかは感想が期待できる。
やはりいい判断だよ。
その後夜野が来たりしたけど、大人しく小説読んで感想あげてるだけだからモメる事もなかった。
そして文化祭は気づいたら終わってた。
ほぼここに入り浸ってた。
他のヒロインのとこ行かなくて良かったのかな?
「感想、楽しみだな」
「は、はい…」
少し顔が赤い佐藤。
「朝馬くん……」
「ん?」
「その、す、」
「す?」
口をパクパクさせて、ぷるぷる震える佐藤。
もしや…
「す、すいませんなんでもないです!また明日!!」
全速力で逃げるように佐藤は走り去って行った。
「明日休日だけどな」
す、かぁ……。好きですとかかもなあ。
佐藤と武内は完全にホの字だとアタシは思う。
振られる心配は減った。だからやっぱり後はタケが誰を選ぶかだと思うんだよ。
つづくらしいよ。
次回は体育祭。次は百合子だね。
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