第46話 不誠実らしいよ。知らんけど

「まあ、そんな責めないでやってくれ」


美波君が間に入ってきてくれる。


「部外者は黙ってろって。でもお前だって良い気しねえだろ?武内とは友達みたいだし」

「……まあ、友人を泣かせたり、苦しませるというなら…いい気はしない」

「だろ?」

「けど、さ」


美波君はタケの肩に手を置く。


「そんなことは…しないさ。なあ?」


美波君の問いに、


「あ、ああ!もちろん!」


はっきりと、答えてみせた。


「告白されて、振ることで泣かせるとかならともかく、別に三股かけたりなんて朝馬に限ってはない。……ただ、三人は今のところ仲の良い友人なんだ。だから遊ぶことはおかしな話じゃないだろ?」

「遊ぶ、遊ぶねえ…」


少し納得はしてるものの、まだ半信半疑に見える。

美波君が不器用なりに庇ってくれてるんだからタケもちゃんと答えないと!


「お、おれ友達少ないからさ、仲いい女の子が増えて浮かれてたんだよ。わ、悪い」

「じゃあなにか?不特定多数の女に手を出す気はねえと?」

「も、もちろんだ!た、ただ、」

「ただ?」


どもってたタケだが、意を決するように言う。


「将来的には、か、彼女達どちらかを好きになる可能性はある」


……そうだね。好きにならないだとか、友達としか見てないなんて逃げは、しちゃダメだ。実際狙ってるわけだしね。

この場を穏便にしつつ、逃げない…これがベストな発言かも。


昼田はため息をつく。


「そうならねえ事祈るぜ。まあ今のところはその気ねえって事は信じてやるよ。夜野もいいよな?」

「あんま、納得いってはないがわかったよ」


ホッとする。とにかく良かった。変にモメることにならないで。



「なんの話してんの男ども」


あ、晶子が帰ってきた。四人の男はなんでもないって態度で離れる。


タケは小声で美波君に礼言ってた。



でも今回は男からの指摘だから良かったけど、攻略候補からの指摘だったらまずかったよね。





月日はたつ。三人と交互に遊んだり、みんな一緒に遊びにも行った。勉強会もした。

攻略候補同士仲良くなったのもいい傾向かも。


でも、どちらかと付き合うとそれも崩壊しかねないよね。



そして大きなイベントが二つ待ってる。

文化祭と体育祭だ。


文化祭はクラスの出し物ならあまり攻略に関係ないよね。

なぜかって?

攻略候補の三人は同じクラスじゃないからだよ。


それはタケも思ってたから、積極的には関わらなかった。


と言っても、クラスの出し物は焼きそばの屋台なんてありがちな物だったしね。

喫茶店とかなら攻略候補呼んだりしてもよかったけどね。


でもまあ手伝う必要はあるらしいよ。当然だけど。

料理はできないから、買い出し班だね基本。


空き時間は図書室を覗くタケ。

なぜなら、


「あ、朝馬くん…きて、くれたんだ」


そこには佐藤の姿が。


「様子見にきたよ」


図書室にはなにやら小さな本が何冊も置かれていた。


「誰か…読みに来てくれますかね」

「大丈夫だって」


あ、もしかして佐藤が書いた小説かなにかかな?



つづくらしいよ。


次回は文化祭編か。ただあまり長くはならなそうだね。

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