第38話 海…海来たらしいよ知らんけど

 夏休み真っ只中、みんなで海に遊びにきたらしいよ。


 攻略候補三人は互いに仲良くなったし、一緒の遊びに誘いやすくなったのはよかったね。


 タケと攻略候補だけ…なんてハーレム展開ではないらしいよ。他にもそりゃいるよ。

 むしろ男はタケだけ…なんてほうが居心地悪いだろうしね。

 女同士の遊びに異物が混じってる感でるか、どこぞのハーレム野郎だと妬まれる可能性もあるし。


 ちなみに誘ったのはタケだけど、男はおれだけで女の子いっぱいで遊ぼう!

 …なんて言ったら攻略候補にどんな目で見られるかわかったものじゃないよ。

 その上の処置とも言えるらしいよ。



 ♢



 白い砂浜、暑くまぶしい太陽…そして青く美しい絶景の海!

 いやーやって来たね。

 アタシは初めて見るからわりと興奮してるらしいよ。


 タケのおもりとか、様子見る必要なければ、いろいろ見て楽しみたいところなんだけどなあ。


 …男連中は着替え中の女子を待つ。砂浜に座りながら。


 メンバーはタケ、美波くん、安野くん、昼田に夜野の五人。


 夜野とはこの前佐藤口説いてた子。呼んでないのに付いてきたらしいよ。それは昼田もだけど。


 美波くん以外は、上半身裸で海パン履いて遊ぶ準備万端。

 昼田と夜野はブーメランパンツ履いて泳ぐ気満々。どっちもがたいはいいな。


 安野くんはお腹出てるな。あんま野球部っぽくないなあ。


 …アタシとしては美波くんの水着見たかったんだけどな。Tシャツ着て泳ぐ気ゼロだよ。


「美波、水着もはかないのかよ」


 と、タケは言った。ちなみにタケは競泳水着みたいなの着てるよ。

 …なんで?


「…そもそも俺は嫌々来たんだ。着る必要ない」


 なんだ。また美波くん無理に連れ出したのか。独り立ちしたと思ったのにタケの奴。


 …というか男のメンツがほしかったからか。友達少ないもんねタケ。勝手に付いてきた二人はともかく、安野くんだけではダメと思ったのかな?


「そこは…わりいと思ってるよ、でもせっかく来たしさ、」

「…あんまり肌出したくないとか、ヒョロいからとか色々理由はあるが、決定的な理由があってな…」

「ん?」

「…泳げないんだよ」


 あ、なるほど…それなら来たくもないし、水着も着ないよね。


「泳げない…?」

「ああ…」

「…おれも泳げないや、そういえば」


 ガクッ。

 お前もかい!しかも忘れてたみたいに言うなよな。


「ま、まずいな…泳げないのになんで海に誘ったんだおれ!」

「…ほんとだな」

「白状します。女の子の水着見たかったからです」


 キッショ。


「…見たい気持ちだけで頭いっぱいで、海は泳ぐ場所ってこと忘れてたか?」

「そ、そんなとこだな…誘っといて泳げないは…カッコ悪いよなあ」

「…そうかな?でもまあ泳ぎ、教えてもらえばいいじゃないか」

「ええ…三人に?」


 タケはおそらく子供に教えるように、女の子に両手つかんでもらって、ばた足する自分を想像してるね。顔ひきつってるし。


 ま、微笑ましくていいんじゃない?…プププ。


「さすがにそれは…」

「…なら砂場遊び、バレー、スイカ割りで時間つぶすか?」


 どれも海の定番だね。


「スポーツは苦手だし、スイカはない。…砂場で1日つぶすのもな…」

「海の家でご飯でも食べながら、駄弁るのもありだ」

「アリかもしれんけど…百合子ちゃんと晶子はせっかく来たのにそんなことで納得しないだろうし」


 …まあ海に来て駄弁るだけもあれか…他の事した後ならいいけど。


「う~うつ伏せになった女子達が水着外して、オイルか日焼け止め塗ってあげる妄想しかしてなかったからな…」


 キッ!ショ!漫画の見すぎじゃね~のかこいつ。日焼け止めくらい家で塗ってくるだろ多分。


「…スイカ、買ってきてやろうか?」


 美波くん…もうそのアホに優しくしなくていいよ。



 つづくらしいよ。


 次回は女子達合流。その後…どうする?




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