第16話   掃除の手伝いらしいよ知らんけど

放課後


頼まれた通りにタケは佐藤静流の教室…5組にやってきた。


すでに教室内は佐藤さんだけしかいなかった。


ん?一人だけ?


そういや押しつけられたとか言ってたっけ…

う~んこの子押しに弱そうだしね。頼み込まれて仕方なく了承したのかも。でも一人に押しつけるのはひどくない?


「あれ?佐藤さん…一人だけなの?」


タケも気づいたか質問したよ。


「は、はい…そ、そのしなくちゃいけない事があるからって…」

「…いじめられてる?」

「いえ!そ、そんなことでは!」


ブンブン両手振って否定する。

…まあ違うならいいけども、でも弱気だから押しつけられたんだろうなあ。かわいそ。


「…ま、いっか。掃除しようよ」

「は、はい…ありがとうございます…」

「いーって別に」


二人は掃除タイム。


黙々と掃除。

特に会話とかはないらしいよ。


どんな掃除したかとかは興味ないだろうから割愛するらしいよ。





で、後はゴミ出しだけというところまできたらしいよ。

まぁまぁ時間かかったかな?


ゴミ袋は2つか…ならここは、


「俺が後捨てとくから、委員の仕事あるなら戻っていいよ」


ウンウン、タケにしては百点あげてもいいね

自分にまかせて戻っていい…これならあまり下心あるようにも見えないしね。


「い、いえいえ!そ、そそそそんなことまでは…」


悪いと思ったか佐藤さんはタケから一つゴミ袋を取り上げようとする。


「いや、大して重くもないし」

「で、ですけど!」


くだらない事でモメないよーにね。


ん?人の気配。


教室に数人の女子が入ってきた。

一人は武内晶子じゃん。


「よかったじゃん!晶子!東くんと話せてさ!」

「ウンウン」


なんかニヤニヤしてるらしいよ。どうやら意中の人とお話でもしてたのかな。


というかここのクラスだったのか。

…という事は?


「あ、佐藤さんごめん。おしつけちゃって。今手伝うからさ」


武内は軽く拝むように頭下げた。

やっぱ押し付けたの武内だったんだ。


「…もー終わったっつーの」


チクリと言うタケ。

攻略相手だけどそれとこれとは別な話と思ったか何か言いたげ。


うん、いいんじゃないかな。顔色ばかりうかがってもしょうがないし。


武内がタケに気づいて睨む。

…ていうか武内とタケじゃ言いづらいしこれから晶子呼びにするよ。


「何あんた。ここのクラスじゃないのになにしてんの」

「佐藤さんが一人で掃除してたからかわいそうになってさ」


…一触即発な空気…


あ、選択肢!


1 佐藤さんにあやまれ


2 サボって何してたんだよ


3 じゃ、佐藤さん。またね



ふ~んまた一つは話変える系か…


1と2は反感買う可能性もあるけどながれによってどうなるかわからないね。

でも3は反感はなくても好感度も上がらないよね…


となると勝負に出るか出ないかってこと?


いや、1は…



「じゃ、佐藤さん、待たね」


え!?3!?いいのタケ?


そそくさと去るタケを追いかけるよ


「いいの?タケ。どう見ても好感度は…」

「佐藤さんの事考えたんだよまずは」

「え?」


どういう事?


「多分だけど、武内と言い合いしたら変な空気になるだろ?佐藤と武内の関係も悪くなりかねない」


う~んかばうのもアリだけど…下手に大事にする方が嫌って可能性もあるか…

それこそ人によりそうだよね。


佐藤がそれでも庇ってほしいと思うタイプなのかそれとも…

どちらにせよいじめられてるわけじゃないみたいだし。


「それと1は論外だったかな?」

「ん?」

「一応あいつ謝ってはいたから」


…だよね。そこまで申し訳なさそうにはしてなかったけど謝ってはいたもんね。





その後、時間つぶしした後に図書室覗いてみたら佐藤さんの姿が、


彼女はこちらに気づくとぺこりと頭を下げた。


「佐藤さん、ごめんすぐ戻っちゃってさ~あいつらになんか言われなかった?」

「い、いえ!あの後も軽く謝ってくれましたし特には…」

「ならいーけど」

「…あの、」

「ん?」


少しモジモジしてる…ん?これは。


「そ、その、ありがとうございました。今まで変に避けた事も謝ります!」


深々と謝罪したよ。


「いやいや!いーって!」


必死に頭を上げさせようとしてるタケ。


どうやら好感度、大幅アップしたようだね。

やはり選択肢は正解だったみたい。


最初の一歩は成功だね。



つづくらしいよ


次回は武内の選択肢に三浦も出たりして

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