第8話  第三のヒロインらしいよ知らんけど

「タケ、さっきすれ違った子と知り合いなの?」

「一応、な。幼なじみなんだよ」


 その割には仲良さそうには見えなかった。

 でも攻略可能なのか…変な話。


「今の子、武内晶子たけうちしょうこちゃんでゲスね。朝馬くん知り合いでゲスか」

「安野も知ってるのか」

「友達の友達みたいな感じでゲスから、詳しくは知らんでゲス。でも結構な美人でそこそこ人気ある子でゲスよね」


 またまた人気ある子が攻略候補なの?

 タケなんかにはもったいない。

 …と言っても攻略できるかはわからないけど。


「でもあの子、確か美男子イケメン大好きクラブの会員でかつ、学園で一、二を争う美形のあずまくんのファンらしいでゲスが」

「はっ!?」


 目を丸くしてるよ。

 そんな驚くことかな?


「あ、あの女そんなミーハー野郎だったのかよ…見損なったぜ」

「いやいや男だって美女好きだろうし、女の子もイケメン好きでもいいでしょ」


 と、アタシはツッコんだ。当然な事をね。


「う、でもよ」

「そもそもあんたもカワイイ子狙ってるくせに言えた義理?」

「ぐぐぐ…」


 論破してやった。

 文句言うなら自分がまず容姿気にせずに、女の子を吟味しろっての。



「ところで幼なじみな割には仲悪そうだったけど、何かあったの?」

「…大したこと、ねえよ。でもあいつも攻略候補なら…少し話してみるか」


 なんだよ仲直りしたい感じ?

 何あったか知らないけど、攻略可能と分かれば確かに仲直りは可能かもね。


「佐藤さんはともかく、武内さんなら友達に聞けばわりと情報わかると思うでゲス」


 なんか安野くんギャルゲーの友人枠みたいになってるな…

 まさかギャルゲーアイの影響だったりして…


 そうでなければ、見ず知らずのタケなんかに協力しないし。


 あ、彼は攻略可能なんだっけ。

 もしかして好感度高かったのかな?



「武内はオレも知ってるし、聞くことはそんなに……いやまてよ、あいつの交友関係とかその東とかいう奴については少し…」


「あ、いたいた。オ~イ」


 女の子に呼びかけられたらしいよ。

 この声は…?


 一一その相手は三浦百合子だった。

 最初のヒロイン候補。

 ド貧乳だから攻略する気なくしてたけど。


「君、名前何?」

「え、ええ?あ、朝馬健人あさまたけびとだけど…」

「朝馬くんか。はい、この間ぶつかったお詫び!」


 小さい小袋を渡してきた。


「え?な、なんで?ぶつかったのはおあいこって……」

「うんまあ、でも怪我とかさせてたらって思うとさ。それにお詫び言うても家庭科の授業で作ったお菓子だし、たいそうなものじゃないから!」


 て、手作りのお菓子!?


 な、なんて運のいい野郎なんだろ……

 まだギャルゲーアイをこの子に使ったわけでもないのに…

 伊達に攻略可能じゃないってことかな?


「じゃね」


 軽く手を振って去る三浦百合子。


 ……深い意味は全くない。…はず。

 おそらく他の誰相手でも同じ事するだろう。あの子は……


 でもそういう事に慣れてないタケみたいな奴は、そんな些細な事でも意識してしまうはず。ホレっぽい奴なら、これで落とされてるかも。


「へ、へえ…か、可愛いとこあるじゃん?ひ、貧乳は興味、ねえけど、なあ?」


 声裏返ってるらしいよ。

 こりゃ落とされたか?


「う、うわあうらやましいでゲス!人気者の三浦さんの手作りなんて!」


 安野くんの嫉妬で、余計気分よくしてるタケ。にやついててキッショ!


「あいつも候補に戻すかな~仕方ないな~」


 お気楽モードキッショ!

 なんてチョロい男なんだ……



 ◇



 教室の自分の席に着席するタケ。


「とりあえず候補を整理すっか」


 ヒロインその一、三浦百合子。

 背からスタイルまでちんちくりんだが、とても可愛らしい容姿。男女問わず友達は多く人気もある。元気いっぱい明るい僕っ娘。

 ショートカット。


 ヒロインその二、佐藤静流。

 背は普通くらいでタケよりは少し大きい。黒髪ロングで、顔が見えずらく陰気くさい。

 まだ情報は少ないが、タケを少し警戒してる。しゃべるの苦手そう。


 ヒロインその三、武内晶子。

 背は高くモデル体型のスラッとしたスタイル。胸はない。

 栗色ややロングヘアーで、美人系の女子。これまた男子に人気あるらしい。ただ学園きってのイケメンに惚れてるらしい。


「めぼしいのはこの三人かな。ただ佐藤はわからんけど、他二人ド貧乳なのがな…」


 こいつこの期に及んでまだ胸の大きさ気にしてんのかよ。


「佐藤さんも聞いた話しじゃ小さいでゲスよ。二人ほどの壁ではないかもしれないでゲスが、Aカップっぽいでゲス」

「…マジ?」

「マジ…でゲス」


 しばしの静寂……そして。


「攻略ヒロインはひんにゅうだらけ!!」


 はい!タイトル回収!!

 長かった~。


「……何、騒いでるんだ朝馬」


 一人の男の子が話しかけてきたらしいよ。

 ……え?え?この子眼鏡かけてわかりづらいけど、めちゃくちゃイケメンじゃない!?

 アイドル顔負けなんてレベルじゃない…絶世の美男子……


「あ、美波。よっす」


 気安い挨拶、まさかこのイケメンくんがタケの唯一の友達!?



 つづくらしいよ。


 次回は友人くんやヒロイン攻略に少し動くかも。


 実はこの友人くんは別作品の…


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