第9話   美波くんは別作品の主人公らしいよ

「美波~お前も協力してくれねえかな」


タケは手をあわせ、そのイケメンくんこと、美波くんに頼む。


緑色で少し長めの髪型。鼻筋にかかる前髪がセクシーだね。

背は170あるかないかくらいかな?あと、細身の体格してるらしいよ。


そして特筆すべきはその顔!

眼鏡と長い前髪で隠してるのかわからないけど、それでもわかる!

アイドル顔負けの絶世の美男子だと!

これ本気出したら女に囲まれるでしょ、ヤバい……一目惚れしかねないよ。



「…なんの話しだ?」


アタシはちょっとビクッとした。

心読んで、アタシに言ったのかと思っちゃった。どうやらタケの頼みについてらしいよ。


「いやなんつーか、恋人作るための手伝いというか…」

「…よく、わからんが……俺にできることなんてないだろ」

「相談とかにのってくれるだけでいーからさ」


美波くん、あまり乗り気には感じてない。


「…色恋、それも人のなんて俺に相談されてもな」

「相談1日につき一回、ファミレスか喫茶店でクリームソーダーおごるから!」

「……話し、聞こうか」


あれ、意外とチョロい?

甘党なのかな?


「朝馬くんの友達でゲスか?安野順平でゲス」

「…美波神邏みなみしんら…よろしく。朝馬の友達?」


美波くんに問われたタケは言葉につまるらしいよ。


確かにただ話し聞かせてもらうために呼んだだけだしね。


「今日から友達になったゲス」


変わりに安野くんが答えてくれたらしいよ。


いやよかったじゃんタケ。友達増えたじゃん。当人も少し嬉しそうにしてるらしいよ。


「…そうなのか。それでいきなり相談してもらってるのか」

「そうそう。なかなか話しのわかる奴でな」

「…無理やり頼んだんじゃないだろうな」

「違う違う」

「ならいいが…安野くん、嫌なら断ってもいいから。買収された俺が言うのもなんだが」


すると安野くんは首をふる。


「いやいや楽しそうだからいいんでゲスよ」


うわーいい子!さすが攻略可能なだけはあるね!


…もしかして下心あったりして。


「でもオイラにも条件いいでゲス?」


あ、そっか美波くんはクリームソーダーおごってもらえるんだから、安野くんにもなにかあげないと贔屓になるしね。


「う、財布に相談だけど…」

「おごりとかじゃなくて、オイラ野球部なんでゲスけど、応援に来てくれる友達とかいなかったから試合の日来てくれればな、って」


わあ!お金じゃなくて、そんな事でいいなんて!いい子!


…やっぱり下心ない?


「ま、まあそんな事でいいなら」

「約束でゲスよ。ちなみに練習試合もでゲスよ」

「え?」


これ安請け合いしたかもね。

試合の度に行くのもわりと大変でしょ。


「……?」


あれ?美波くんアタシの事見てない?


そういえばさっきからなんか視線感じてたらしいよ……え、まさか…


「…ところで、さっきから気になってたんだが、朝馬の隣に立ってる女の子は誰なんだ?制服来てないからここの生徒じゃないよな」


ーーー!?


アタシが見えてるの!?

美波くん、もしかして魔力を…


「?誰もいないでゲスよ?」


そりゃ見えてない安野くんからしたら意味不明だろうけど……


「…え、なら幽霊か?」


マジか…みたいに思ってるのかもしれないけど、恐ろしく無表情だよこの子。


クールな上に無表情……素敵。


…ってそれどころじゃない。

見えてるなんてどうしよう……



つづくらしいよ。


次回はみんなで相談だ!ってとこかな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る