第7話  佐藤静流らしいよ知らんけど

 あれからは特に図書室にはよらず下校した。


 …で、夜。

 タケは家に帰ってきた。


 アタシもついて行ったらしいよ。

 わりと立派な一軒家に住んでる。そこそこ裕福な家族なのかな?


「結局、あの後は図書委員の子以外攻略可能な子…出てこなかったなあ」


 ぼやいてるよこいつ。

 …しかしホントに三浦百合子には興味失せたのかな?


「佐藤静流…ねえ。あの子そんな可愛く見えなかったし、他にも見つからないかな」

「何お前、可愛い子じゃないとダメとかワガママ言う気?キッショ、大した男でもないくせに」

「う、うるせえな。そりゃできれば可愛い子のがいいだろ。て言うかお前いつまでついてきてんだよ」


 別にアタシも好きでいつまでもいる訳じゃないらしいよ。


「能力与えた手前、悪用されたらまずいから見張るらしいよ。知らんけど。彼女出来たら能力剥奪予定だしね」

「悪用って……そんなことに使えるかこの力?…てか剥奪?すぐ別れるようなことになったらヤバイな…」


 まああの後、お師匠にこっぴどく怒られて見張れ言われたからなんだけどね。

 そのせいでアタシは天界に帰れないし…まいったらしいよ。


 だからはよ彼女作ってほしい。


 でもこいつ慎重というか、まだ能力を攻略可能かどうかにしか使ってないし……先が思いやられるよ。



 ◇



 翌日、

 とりあえずタケは女子生徒を吟味しだすよ。

 またトイレに行って、


「ギャルゲー…アイ!」


 叫んでポーズ決めてからね。

 ……フフフ。


 ちなみにギャルゲーアイは時間制限で勝手に切れるらしいよ。

 その度に使わないといけないらしいよ。

 使用期限はないから問題ないけど。


「…なんかパッとしねえんだよな。攻略可能なおっぱい大きい子はなし、それどころか、学園のアイドル黄間さんとかもダメなのかよ。」


 巨乳狙いかこいつ。

 でも学園のアイドルも大して大きくなかった。ド貧乳じゃなくBカップくらいあれば妥協すんのかな?


 ただなんの因果か、可能なのはド貧乳ばかりらしいよ今のところ。

 貧乳に好かれる才能でもあんのかな?


 そもそも攻略可能な子がそもそもほとんどいないわけだけど。


「あ、朝馬くんでゲス」


 あ、昨日三浦百合子の事教えてくれた、安野くんらしいよ。


「よ、よう…」


 攻略可能だったせいか、ひくひくしながら挨拶してやがる。

 プププ……


「今日も女の子調べてるでゲス?」

「なんでわかったんだよ」

「いやキョロキョロしてるでゲスし、オイラが知ってる子ならまた教えてもいいでゲスよ」


 お、願ったり叶ったりらしいよ。

 ギャルゲーの友人枠みたいだね。


「そーだな。でも今んとこ興味ある子は…」


 タケは視線をそらすと、そのさきに昨日の図書委員一一佐藤静流が見えた。


 佐藤静流はタケに気づくと、ビクッとしてUターンしたらしいよ。

 うわ、怖がられてるよ。


「あの子、佐藤静流はわかるか?」

「佐藤静流?……ああ、あの地味な子でゲスね。この前の三浦さんとは真逆というか陰気な子でゲスよ」

「まあそりゃ見たらわかるけど」

「友達も少なそうだし、休み時間も本ばっか読んでるおとなしい子でゲス。そんな可愛くもないだろうし、この子も胸は平らだから止めといたらどうでゲス?」

「友達少ないか…」


 それを聞くと、彼女をジッと見つめる。

 ん?なんか同情してるらしいよ?

 …いやそれとも同類と感じた?


 この2日間タケといるけど友達としゃべってるのみたことないし……


「タケも友達いないの?」


 アタシは聞いたらしいよ。


「は、はあ!?いるっつーの!!ひ、一人だけだけど」

「ほんと?その一人って誰?昨日それっぽい子いなかったし」

「昨日は休んでたから…なら見せてやるよこい!!」


 急にUターンして走り出す。


「あれ!?朝馬くんどうしたでゲス!独り言しゃべったと思ったら急に!」


 安野くんはアタシが見えないから、急にムキになって走り出す変な奴に見えてるはず。


 走って教室に戻ろうとしたら、ある女子生徒が目の前に!

 今度は前みたいに激突せず、寸前で止まれたらしいよ。


 女の子は栗色の長い髪。

 モデルのようなスラッとした細身のスタイル。背も高く、タケを見下ろせるくらいらしいよ。


 ちなみに容姿も優れてる。

 カワイイというか美人系って感じ。


 ただこの子もあまり胸の膨らみは感じない。



 …あれ?

 なんかタケは気まずそうな顔をしてる。


 女の子も眉間にシワたてて、タケを嫌ってるような顔…


 女の子はすぐさまタケを避けて、離れて行くらしいよ。

 …知り合いなのかな?



 タケはそのまま突っ立ってる。


「まじかよ…あいつ、攻略出来るのか」


 え?第三のヒロイン?

 でもあんま喜んでないような…



 つづくらしいよ。


 次回は第三のヒロインについて?あと唯一の友達出るかも。



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