29話  試合開始~

「よし! オイラが大将につく! おまえら! 三勝してくるワン!」


 トイプードル(自称)隊長は偉そうに座り込む。

 なるほど、五人目に陣取り、部下達に三勝してもらって自分は戦わないつもりか。


 と、言ったものの、隊長は部下に首根っこ捕まれて投げられた。


「あんたが大将とは笑わせますよ。せめて二、三番手で戦え!」


 あらら。部下も言うこと聞いてくれないようだ。


「このやろ! 隊長の言うことが聞けないのかあ!」

「うん」

「ぶっ飛ばす!」


 と、隊長は殴りかかるが部下に蹴り飛ばされて返り討ちにあっていた。


 ……どんな隊長だ。


 一回戦。


「さあ始まります。チームリブラとチームトイプードル! 実況はウチことシズがお送りします!」


 あ、シズさんちゃっかり目立つ役に着いたね。


「誰あれ?」

「見たことないよね?」

「あんなのいたっけ?」


 双子ちゃん達の頭に大量のクエスチョンマークが浮かんでいた。


 ……いたんだよ。君たちと会った時からね……


 シズさん、最後に話したの何話だろうか……


「よし行けなんにもわかんないちゃん!」

「はあーい」


 え、あの女の子が出るの?

 なら少し手を抜いてあげ……


「ワタクシが行きますわ! ぶち殺してさしあげます!」


 え、お嬢様!?


「一回戦、エリス対なんにもわかんないちゃん! ファイ!」


 と、シズさんが叫んだ瞬間!


「おらおらおら!」


 隊長と田中のおじさんが手榴弾とマシンガンを乱射してきた。

 は? 反則だろ!

 というか田中のおじさんは何普通に言うこと聞いてんの!


「ワタクシにそんなものは通用しませんわ!」


 爆炎が発生! マシンガンの弾は焼け、手榴弾は何故か跳ね返ってきた。隊長の元に。


「えっ?」


 どっかああん!


「ギャ~!」


 なんにもわかんないちゃんも今の衝撃で吹き飛んでる!


「勝者、エリス~」

「弱っ!」

 

 いやまあ……わかりきってたというか。

 でもあの娘だけは手当てしてあげよう。


「二回戦、たなおじ対ミニ」


 うん。田中のおじさんとは双子ちゃんの女の子ぶつけた。

 お嬢様やピアスだと殺しそうだし……


「このクソ餓鬼! 撃ち殺したる!」


 と、田中のおじさんは銃を乱射する。

 おい、なんでそんなやる気満々なんだよ。


「当たんないよ~だ」

「ムカつく~!」

「はい後ろとった~」

「しまった!」


 簡単に後ろをとられた田中のおじさんは……


「いたたたたたたたたたたたてたてたてててててててて!」


 めっちゃさば折りされてる。

 

「た、助けてえ! 隊長!」

「たなおじが死ねば、オイラが人気No.1だ。安心して死ねワン」


 見捨てられたぞ田中のおじさん。


「こちょこちょこちょこちょ」

「あはははへはははへへ! イデテテあははは!」


 その上くすぐられて、痛みとくすぐったさの二重苦受けてる。


 まあ、なんか普通に僕らに攻撃してきたからね。当然の報い。


「ご、ごめんなさい! リブラくんあ、謝るからあ!」

「はあ……仕方ないな。ミニちゃん。それくらいで」


 僕が指示すると、ミニちゃんは素直に離す。

 田中のおじさんはひいひい言ってる……


「田中のおじさん、懲りた?」

「や、やっぱりおいらの居場所はここだよ……リブラくん」

「そう」


 興味無さそうに相づち。


「王様の次にリブラくんには感謝だよお~おいらの娘を奥さんにしていいよ! いるか知らないけど!」


 知らないんかい。


 ん? 何故かミニちゃんの顔が赤い。なんで?


「たなおじ~! 変なこと言ってんな!」

「あんたの娘なんていたとしてもろくでもない奴に決まってますわ! リブラ様にふさわしくない!」


 ピアスとお嬢様、落ち着いて。


「三回戦! リブラ対トイプードル(自称)隊長!」


 さあ、早くもこっちの二勝なわけだけど。


「ふん! 舐めるなよ! パワーアップしたオイラの力! とくと……」

「そらとってこーい」


 僕は骨をブーメランのように投げた。


「ワンワン~!」


 ニコニコで骨を追いかける隊長。


「ワーン!」


 笑顔で口でキャッチ! やったね!


 ――それ爆弾だけどね!



 どっかああ~ん!


「ほんぎゃあああ!!」



 黒焦げになったトイプードル(自称)隊長。

 うーん焦げ臭い。


 はい、再起不能だね。


 ……あの、もうこっちの三勝なんだけど。



「リブラチームの勝ち~」


 普通にストレート勝ちできたね。まあ当然だけど。


 で? 負けたら自殺だっけ?


 するとトイプードル(自称)隊長はまた土下座しだす。


「お願い! 泣きの二回やらせて! そして勝ったら一万勝の権利ください!」


 なんだよ一万勝って。

 それだと四試合の意味ないじゃん。


「こっちが一つ勝った時のみ一万勝の権利ください! そっちは一つ負けただけで負けてください!」


 何むちゃくちゃ言ってるんだこのおっさん。

 不利ってレベルじゃないんだけど。


「ていうか普通二対二になって大将戦になるだろ! 何ストレート勝ちしてるんだ!」


 なんで逆ギレしてるんだこのおっさん。

 漫画のお約束とか知らんよ。

 てか決勝とかでもなければ漫画でもストレート勝ちくらいザラだぞ。


「お願い! あと二試合やらせて!」


 うざいんだけどこのおっさん。




 ――つづく。


「もう先に進みたいんだけど、まだやるのこの下り?」


「次回 泣きの二回お願いします!(土下座) 安い土下座だよね」


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星屑戦記(ナルシスト主人公のイカれた旅路) メガゴールド @rankaz

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