再戦トイプードル隊長編

27話  何も考えてないトイプードル隊長

 トイプードル隊長side。


「どうすればいいワン?」


 トイプードル隊長はたなおじを連れ、とりあえず新しい本拠地に帰ってきていた。

 そこで部下とたなおじにそう言った。たなおじは首をかしげる。


「どうすればって?」

「どうすれば奴らに勝てるワン」

「そんなの隊長が考えなよ」

「思いつくならこの前簡単に負けてねえんだよ! ワン!」


 テーブルを強く叩く隊長にびびるたなおじ。

 一方部下は呆れた様子。


「じゃあ正々堂々挑んで返り討ちにあってくださいよ隊長」

「なんだと! お前たち、オイラが殺されてもいいというのか!」

「うん」

「ギャヒーン!」


 変な奇声をあげて、芸人のようにずっこける。

 隊長は部下達に慕われてないからまともに言うことを聞いてくれない。首領のシグマに言われたから嫌々したがってるのだ。


「こうなったらなんにもわかんないちゃん! 意見を!」

「わかんないね~」


 なんにもわかんない女の子、なんにもわかんないちゃんに聞く時点でどうかしてる。

 ダメだこりゃ。そうたなおじは思った。


 しかしたなおじはトイプードル隊長の配下になったから、一緒にやられるかもしれない。それだけは避けたいたなおじは必死でリブラ達攻略に頭を悩ませる。


 ……部下達よりたなおじのが真剣だった。

 ただたなおじにとっては仲間相手。なのに気にせず戦おうとするたなおじもどうかしてるのだが。


「食べ物に毒を入れる。人質をとる。ピアス対策にイケメン用意とかどう?」


 と、たなおじは考えを言う。

 ……仲間相手にすることか?

 たなおじの人間性にも問題がありそうだった。


「良くわからんが採用! だワン!」

「良くわからんのかい!」


 部下達の呆れは最高潮。


「イケメンはオイラでいいかな? このワイルドなトイプードル顔……」

「いやいや、そこはおいらでしょ。ふさふさのカツラもらったおいらこと、たなおじのイケメンっぷりと言ったら……」

「寝言言ってんじゃねえぞバカ二匹」


 隊長とたなおじに、ついに暴言吐いた部下。

 どう見てもイケメンとはほど遠いから仕方ない。なんにもわかんないちゃんすら部下に同意するように頷いていた。

 わかんない子から見てもイケメンではないとわかるようだ。


「お前ら……オイラの部下の癖に暴言吐くとか許せんぞ! 全員まとめてお仕置きだ! やるぞたなおじ!」

「え? おいらも!?」

「うおーお仕置きだ!」


 ――結果。


 部下の方が人数にもまさるゆえ……


 ぼこぼこにされたトイプードル隊長とたなおじ。


「きょ、今日はこ、この辺で許したらあ……」


 頭をフラフラさせていわゆるピヨリ状態な隊長と、なぜかひんむかれボロボロにたなおじはなってた。


 ……人数が多いとはいえ部下に返り討ちにされる隊長……

 部下達はこんな奴の下につきたくないと嘆く。


 ちなみにトイプードル隊長は今まで撃破してきた地区の隊長で最弱だ。


 ……そう。最弱なのだ。


 それどころか全地区の隊長で最弱だ。

 生き返らせるために犠牲にした隊長はトイプードル隊長より百倍強い。なのにこんな隊長のために犠牲にし、その部下をこの隊長の下につけたのだ。


 首領のシグマも頭おかしい……


 トイプードル隊長は媚びへつらいがうまく、忠実な犬として動いていた。部下達の手柄を自分のものとして、出世して隊長に登り詰めた存在……


「え、これ詰んでない?」


 部下がそう思うのも無理はない。勝ち目ゼロです。詰みです。


「い、いや待て! 作戦思いついた!」


 と、トイプードル隊長。


「とりあえず一対一なら勝機はあるはずだ! チーム戦として戦いを挑もう!」


 どの口で言ってんだこのアホ隊長……と、思う部下一同。


「重火器に人質、卑怯戦法増しましで、五人チーム戦! 先に三勝したほうの勝ちだ!」


 試合形式にしたところで、生きるか死ぬかの戦闘で三勝された~潔く負けを認めます~

 ……なんてことになるはずないのだが、何を考えてるんだろうかこの隊長は……

 みんな呆れてた。

 

 そもそも一勝できる気がしない。


「とりあえずオイラ! たなおじ! なんにもわかんないちゃん! 部下の誰か二人で挑むぞ!」

「え、おいらも!?」


 チーム戦メンバーに入れられたたなおじ。

 生きて帰ってこれるだろうか?


「不穏な事言わんで~!」



 ――つづく。


「あの、ピアス辺りと当たればマジで殺されそうで怖いんだけど!」


「次回 お願いだから試合形式で戦わせて! (土下座) 土下座するの!?」

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