24話 ツルツルピカピカなたなおじ
「だそうだ」
「え?」
全身ミイラみたいにガムテ巻かれた、田中のおじさんはマヌケな声をあげた。
「だそうって何が?」
「ツルツルピカピカって題名に書いてるぜ」
「いやああ!」
大絶叫する田中のおじさん。
う、うるさい……
「この年齢でツルピカにされたら生えてこないかもしれないじゃんか!」
「そんなことねえだろ。無駄毛は生えるよ」
「そっちはいいんだよ! か、み、の、毛!」
「でえじょうぶだ。ハゲても人気は落ちない」
「人気より髪の毛が大事~!」
すると自分をトイプードル顔だと思い込んでる哀れなおっさん隊長、略してトイちょうが田中のおじさんを抱き寄せ顔を近づける。
「ハゲても……おめーさんの魅力は落ちねえぜ!」
バチコーンという音ともに両目を閉じる。ウインク失敗してんじゃねーか。
ていうか言われた通りBL展開するのかよ。
「え? そ、そんな……」
田中のおじさん、なんで顔赤らめて満更でもない表情してんの。
相手はトイちょうだよ?
「いや、ダメだよ……おいらには王様と、佐藤のおばさんが……」
誰やねん。急に新キャラの名前だすな。
ていうかおばさんは女性だからともかく、王様ってそういう対象なの?
「あと、城下の飲み屋のママと、食堂の……」
おいおい何人いるんだよ。
気が多いことで。
「今だ! くらえ!」
トイちょうはガムテを一斉に剥がしはじめた。
いつもならあーれーとか言ってふざけた声あげるところだろうが……
「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!! いっぎゃああ! おがあああああえええ!!」
ひえっ……絶叫してるよ。
南無……
――そして、
――カッ!
後光がさすかのように光輝く田中のおじさん。
うおっ! 全身が光輝いてる!
目を、目を開けていられない!
「ほんぎゃあああ!」
トイちょうは至近距離だったから後光を目の前でくらったからね。眩しくて仕方ないだろう。
太○拳くらったようなものかな?
「う、うわあ! おいらの、おいらの毛があああ!」
光がおさまってくると、自分の体の異常に気づく田中のおじさん。
まあ全裸とか見たくないから僕や女性陣は目を背けてるからどんな状態なのかは不明。
でもおそらく、身体中のあらゆる毛がなくなりツルツルになったと思われる。
「今服着るからこっち見てよ!」
そう訴えるので、服を着たのを確認し、田中のおじさんを見る。
……わあ……
「ひげ、綺麗にそれたね」
「ガビーン! そこじゃないでしょ!?」
自分で擬音言うかね普通。
「髪の毛! まつげ! 眉毛! いぎゃああ! 人前出れないよ~え~ん!」
……え~んって。
なんか泣いたふりしてこっちチラチラ見てくるんですけど。
なに? 慰めろとか言いたいのかこのおっさん。
さすがにイラっとくるのだが。
言うほど気にしてないんじゃないのかこのおっさん。ネタキャラとしては今の姿受ける気もするしね。
でも髪の毛失ったダメージはでかそうだ。
……仕方ない。
またコメント欄で募集します!
こちらの選択肢、ぜひ選んでください!
① 髪の毛生やしてあげる。
② ふさふさのカツラあげる。
③ ずっとハゲでいろ。
皆さんの選択で田中のおじさん救われるかも……?
「ちょっと! 髪の毛生やせるならそんないじわるしないで生やさせてよ!」
「田中のおじさん、一応毛は残ってるじゃないか」
「え? ど、どこに!?」
「は、な、毛」
鼻毛はさすがにガムテはがしじゃ無理でした。
「そんなのいらないよ! もう~城下でモテなくなるじゃんか!」
「モテる? 田中のおじさんが?」
嘘つくな! 見栄はってんじゃねーですわよ! 死ね!
……などと女性陣から罵詈雑言を浴びせられてます田中のおじさん。
「嘘じゃないよ! いつも飲み屋のママは帰り際に『たなおじ、また来てお酒いっぱい頼んでね』っておいらにまた会いたがってくれるんだぞ!」
それ客として来てほしいだけじゃないか。
「城の食堂のコックさんだって、『いっぱい食うたなおじ、いいね~』って言ってくれるし!」
だから客としてだろ。
しかしお金どうしてたんだろ?
「おじいさま、たなおじによくおこづかいあげてましたわ」
「やっぱり? お嬢様、ありがとうございます」
「いえいえ」
「で、田中のおじさん、他にはどんなアプローチを女性から受けたんですか?」
「……」
もうないんかい!
――処刑はまだつづく。
「続くの!? 勘弁してよ!」
――つづく。
「いつまでやんの!? え? ついでに新キャラも出す? いいから髪の毛プリーズ!」
「次回 たなおじの髪の毛、生え……。生えるだよね!? 生えるだよね!?」
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