11話  隊長に秘策なし

「……なんかタイトルで秘策ないことバラされてるけど、どうする?降参する?」


 タイトルで秘策ないって言ってるんだからないはず。タイトルは嘘つかない。


「ふ、ふふふ」


 急に笑いだしたな。何か策でもあるように見せてるけど、タイトルがばらしてるから無駄だ。


「タイトル!間違ってるぞ!オイラには秘策あるんだからな!」


 タイトルに話しかけてるぞこの人……大丈夫か?


「小説は語り手の情報が全てと言ったなてんびん座!」

「言った」


 というか名乗った覚えないんだが。まあそこも省略ということか。


「だが読者が!オイラを犬と思えば話は変わるだろ!」

「そうかもしれないが、僕が人間と言ってる以上、犬と思う方はいないはず」

「甘い!オイラ達視点のナレーションがトイプードルと言ってたからな!」

「そっちのナレーションが間違えてるだけだ」

「ならば読者に頼むまでさ」


 どういう意味だ?


「読者に、オイラのファンアート描いてもらうのだ!トイプードル顔のな!描いてもらえれば、オイラが犬という証拠になる!どうだ参ったか!」

「ファンアート描かれるほど人気作品じゃないだろ」

「誰か~!!オイラのファンアート描いて~!!」

「ダメです」


 さて、とどめといきますか。

 僕とエリスお嬢様、ピアスの三人に取り囲まれた隊長殿。逃げ場はもうない。


「部下共よ!ファンアート描かれるまで時間を稼ぐんだ!五話分くらいな!」


 隊長が振り向くと、部下は誰一人残っていなかった。まさにもぬけの殻。

 人望ないからな。仕方ない。


 冷や汗をどっとかいてる隊長に死刑宣告をしておく。


「みんな逃げちゃったがどうする?五話どころかこの話で君の命運尽きるけど」

「ファンアート、誰か書いてくれるまで待ってて。エヘッ」


 かわいくないから。そして、待つわけないでしょ。


重力逆転奔流リバーストリーム


 僕の一言で隊長は宙を舞う。

 あ、この技名はさっき考えました。……なんか、簡単に能力使いこなせるようになったけど、そこはまあおいておいて。


 隊長が宙を舞った理由は、奴の重力をゼロにしたからだ。……要するに負荷がなくなり宇宙空間に来たような感覚を奴は受けたわけだ。


 どうやら僕は重力使いなようで、相手を無重力にすることが可能らしい。

 宙を舞った隊長は身動き取れない。つまり的になったようなものだ。

 あとはうちの高火力の女性陣にまかせようか。


「リブラ様、ここはわたくしがこのい、……変な隊長を倒してご覧にいれますわ」

「あ!こいつい、って言った!犬って言おうとしたんだろ!?」

「い、いえまさか。乾みたいな奴と言いそうになっただけですわ」

「誰だよ乾って!」

「データ……そんなことはいいのですわ!死ね!!」

「えっ!?ちょまっ」


 お嬢様が特大の火の玉を生成し、隊長に放つ。

 ……さよなら隊長。


「ぎゃあああああ!!ファンアート!よろしく~」


 だから誰も描かないって。

 爆炎に焼かれ、隊長撃破。よって……


 こいぬ座地区、壊滅だ。


 ――つづく。



「とりあえず、一つの地区は粉砕したか。次は別の地区だな」


「次回。料理対決。……なんで?」


 

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