9話  隊長の秘策

 ――敵side。


「で、とりあえずどうするんですか隊長」

「何が?」


 ドックフードモグモグしながらしっぽ振って部下に聞く、トイプードル隊長。

 

 このくそ隊長……と、内心思うが我慢する部下。


「敵、攻めてくるんすよ?」

「フン、返り討ちだわん。うちの戦力なら新参勇者一行なんて敵なわけないわんねえ」


 最初ワンとかつけてなかったのにつけ出してきた。キャラづけのつもりらしい。


 ドガーン!と、爆発音が鳴り響いている。

 監視カメラを確認すると、ピアスとエリスによって兵隊達はボッコボコにされていた。やはりこの二人、戦力としては強すぎるようだ。


「あの、隊長……全滅しそうなんですが」

「……にげ、」

「逃げるとか言わないですよね?」


 部下の圧を感じる……

 隊長は首をブンブン振る。


「ば、バカタレ!オイラが部下見捨てて逃げるとでも!?」

「ワン忘れてますよ」

「こ、ゴホンだわん」


 咳払いしてとぼけるトイプードル隊長。


「ま、まあオイラには秘策があるから大丈夫だわん」

「何が~大丈夫~なのー?」


 ひとりのとぼけた感じの女の子が、隊長に聞いてきた。


「お、お前は!?」


 その女の子を見てとても驚いた反応をする。…と、いやあんたの部下でしょとみんな呆れる。

 なんで驚いてんだこの人。


「お前はなんにもわからないちゃん!」


 なんにもわからないちゃん。この女の子の名前だ。……名前なのか?あだ名では?

 で、このなんにもわからないちゃんは、名前の通りなんにもわからない。九九を解けない、そもそも計算できない。人の名前覚えられない。アジトの道もわからない。なんにもわからない。


 ……じゃあなんでシグマに入って、ここで部下として働いてるのか?

 ――かわいいからです。

 

 ゆるふわ茶髪の天パ。幼さの見える、間延びしたしゃべり方の美少女。背丈は小さく幼児体型。

 ロリコン御用達の美少女です。ロリコンじゃなくてもかわいいと思う容姿をしてる。

 その代わりなんの役にもたたないけど。

 

「ワンちゃん。何がひさく?なの~?」


 隊長だってこともわからないからワンちゃん呼ばわり。


「よかろう!教えてやる!まず君の言う通り、オイラは犬だ」

「うん~」

「犬を攻撃したらどうなる?」

「痛いね~」


 ……トイプードル隊長はこの子じゃらちがあかないので、部下に聞く。


「犬?本当の犬ですか?……動物虐待とか?」

「それだ!動物虐待になれば、動物愛○団体が出てくる!」

「出てくると?」

「動物愛○団体が奴らを殺す」

 ※注意!!動物愛○団体はそんな過激な団体ではありません!


「そんなに強いんですか?」

「社会的に殺すのだ!!それにより世間から叩かれ、連載が終わり作品が終わる!つまり奴らは死ぬのだ!ハーッハッハー」


 作品が消滅すると隊長達も死ぬようなものなのに、気づかないアホなトイプードル隊長だった。


 こんなアホな敵達なら次回壊滅かもしれませんね。



 ――つづく。



「敵もアホだとわかって安心しました」


「次回 犬?なんの話? どういう意味かはまた次回」


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