8話  殴り込みじゃああああ!!

 ――僕らは地図に記されたボスのアジトへやって来た。

 間違いないここにボスがいる。


 地図通りだからとか、そういう意味じゃないよ?

 だって書いてあるからね。

 看板に。


【こいぬ座地区のボスのアジト】ってね。

 堂々と、大々的に、花束やキラキラ光る宝石などで飾りつけまでして豪華に、ここがアジトとアピールしてる。


 バカなのか?

 いや、負けるわけないという自信からなのか?


 すると通りすがりの犬(人間)の方々が大声で呟く。


「いつ見ても壮大なアジトだワン!」

「うむ、さすがはこいぬ座地区のボス、憧れるわん!」

「すげえワン!」

「しびれるワン~」


 みんなめっちゃ棒読みだった。


「――よし、今日のノルマ達成だワン!」

「毎日ここ来て褒め称えなきゃ行けないからワンねー」


 ふと見るとアジトの入り口にカメラが設置してあった。

 なるほど、カメラの前で住民はボスを褒めさせられてるのか。


 ……なに考えてるんだここのボスは。


 あのカメラ、ボスは見てるって事になるな。監視カメラ的な物かもしれないな。


「ヤッホー。こいぬ座のボス~ぶっ殺しに来たよ~」


 ――ピアスのアホ……おもいっきりカメラの前で挑発しやがった。

 慎重に行くって発想がないのかあの娘は。


「せいぜい首を洗って待ってなさいな!なぶり殺しですわよ!」


 エリスお嬢様まで!?


 ……二人揃ってカメラの前で変顔さらしながら指立てて挑発。

 ピアスに至っては背を向け自らのお尻ポンポン叩いてる。


 女の子がはしたない……


「ふっ、我々最強勇者軍団が貴様らを潰すからかくど、じゃない覚悟しておくんだね!」


 田中のおじさんも真似して挑発しだした。――噛んでるけど。


 先行き……不安です。



 ♢



 ――敵side。


「うむうむ!今日もオレは憧れられてる!敬われている!そう!ボスたるオレは偉い!」


 こいぬ座地区のボスはテレビに写された、命令で言わされてるだけの住民の賛美を見て、うんうん頷き満足そうにしている。


「トイプードル隊長!」


 一人の兵隊がボスに呼びかける。そう、こいぬ座地区のボスの名前はトイプードル。


 ――そのままだ。

 だが見た目こそトイプードルだが、顔が犬なだけで体つきは人間そのもの。おまけに筋肉質だ。

 尻尾があったり、犬っぽいところも多く、犬の擬人化みたいな奴だった。


 ちなみに部下は犬の着ぐるみ来てる人間。


「なんだ~?騒々しいな!」

「実はアルファ王国がまた新たな勇者を派遣し、我らシグマに反抗声明をだしたもようです!」

「なんだと~?奴らめ、いい加減諦め降伏すればいいものを~」


 ちなみにアルファ王国の王様の反抗声明は、『最強の勇者一行が、あんた達やっつけてやるんだからね!うー今度こそ踏んづけてやる!』というなぜかオカマ口調なものだった。


『ヤッホー。こいぬ座のボス~ぶっ殺しに来たよ~』


 と、さっきのピアスの挑発がテレビに写りだす。


「な!?こいつらか新たな勇者一行は!?」


 更なる挑発に、お尻ペンペンしてくる光景を目の辺りにする。


「こ、こら~!!許さんぞ!!オレは偉いんだぞ!!なあ!」


 部下に同意を求めるトイプードル隊長。


 ……部下は黙っている。


「ふ、ま、まあいい。奴らには地獄を見せてやるわ!」


 あまり慕われてないようだ。


 ――続く。


「いやいや!慕われてるからね!呆れられてないからな!!」


「次回 隊長の秘策。ふ、驚くなよ~」

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