こいぬ座地区殴り込み編

7話  こいぬ座地区侵入

 ――こいぬ座地区。


 僕達は無事こいぬ座地区に潜入した。


 辺りはこいぬの銅像だらけだ。

 それ以外は特に変わったところはなさそうだが……


 いや、人が首輪につなげられてる!これは人間が犬のように扱われているということなのか!?

 犬の着ぐるみ着させられてるし……


 でも敵組織の者も人なわけだし、一部の人間だけ、犬のように扱われてるってことか?奴隷のように。


「ワンワン!散歩楽しいワン!」

「今日のご飯はなにかな?」

「ボール遊びしたいワン」


 ……これらの台詞はみな、人の言葉だ。犬の台詞じゃない。

 まあ犬はしゃべらないから当然なのだが。


 ただ、何故だろうか?悲壮感は感じられない。

 この犬のようにふるまってる人達は、みなニコニコして楽しそうにしている。

 洗脳でもされてるのか?


「見るに、堪えないのですけど……」


 エリスお嬢様は頬をピクピクさせながらドン引きしている。


 ……皆さんも想像してほしい。

 成人の男性と女性。おじさんおばさん。おじいさんおばあさん。


 それらみんなが顔だけ見えてる着ぐるみきて、ニコニコでワンワン言ってる様を。


 恐怖を感じません?


「と、とりあえずリブラくん、敵の本拠地探さないと」


 田中のおじさんが提案。

 ……この状況でまともな判断がすぐ出るとは、田中のおじさんすごいな。

 特にこの状況に引いてもいないし。


 しかし、本拠地か……どうやって探そうか?


「聞いてみたらどうかね」

「聞く?この犬、もとい奴隷の方々にですか?」

「そうだね。仲間のフリしてさ」


 仲間のフリ?まさか僕に犬の真似しろと?


 ……ふと、視線を感じ、振り返ると……


 ピアスとエリスお嬢様がワクワクした表情で僕を見てる。


 ……やれってか。


 分かりましたよ。やればいいんでしょ?


「……田中のおじさんも手伝って下さいよ」

「よしきた!」


 なんでノリノリなんですかねえ……


 でも着ぐるみどうしようか。

 さすがにナシでやれば仲間と認識されなさそう。


「リブラ様!」


 エリスお嬢様に呼ばれたからまた振り返る。


 ……エリスお嬢様とピアスが奴隷の方々の身ぐるみ剥いでた。

 ピアスはともかく、仮にも一国の姫がなにしてるんですか。


 まあいいや。脱がされた方、すいません。

 二人に気絶させられてるから謝罪も聞こえないだろうけど。



 ♢



 僕と田中のおじさんは着替えた。

 ……ちなみに僕だけエリスお嬢様とピアスに写真とられまくった。


 おっと、能力で面倒になるかもしれないから仮面つけておくか。


 さっそく僕らは奴隷の皆さんの元に近寄る。

 そしてまず、田中のおじさんが動く。


「ワンワン!こいぬ座地区のボスの場所教えてワン!」


 いきなりぶっこむな!

 それで教えてくれるわけないだろ!


「なにい……?」


 ……奴隷の方の表情が凄む。


「貴様!ワンワンに気持ちがこもっとらん!!」


 ……そこ?


「いいか?我々は犬!心も体も犬!はい繰り返して!」

「いいか?我々は……」

「バカたれ!いいか?はいいんだワン!」


 めっちゃしかられてるじゃん田中のおじさん。

 でもなんか面白いから黙ってるか。


 ――その後、田中のおじさんはひたすら犬の気持ちを考えさせられた。


 おて、チ○チ○、ハウス。などなどやらされ、犬語を叩き込まれた。


 ……犬語ってなんだよ。犬はしゃべらんでしょ。


「よし!これでお前に教える事はなくなったワン!田中のおじさん!貴殿も立派な犬だワン!」

「は、はい!先生ワン!」


 二人は情熱的に抱き合う。


 よく男と抱き合うなー田中のおじさん。


「ワシは、ワシは嬉しいワン!」

「おれもですワン!」

「立派な犬として、これからも働くんだぞ?田中のおじさん!」

「はいだワン!」


 僕は流れで先生に近づき、聞く。


「で、先生。こいぬ座のボスはどこへ?田中のおじさん、挨拶にいくんだワン」

「そうか!この地図の場所だ!」


 わざわざ地図までくれた。


「どうも」


 一言礼言って、僕と田中のおじさんは去る。その間田中のおじさんは手を振ってた。


 しかし、あの先生……


「バカでよかった。あっさり教えてくれたよ。しかも地図まで」

「悪っ!?リブラくんさすがに悪い事言ってるよ!」


 あ、シズさんの突っ込み一発目くらった。


「あー終わった?」


 ピアスとエリスお嬢様は寝転んでポテチかじってた。

 ……


 ピアスはおまけにおならこいてきたので踏んでやった。


「アンっ」


 気色悪い声だすな。


 よし、とりあえずボスの居どころわかったし攻め込むか。

 作戦?まあ、どうにかなるでしょ。二人も巨大戦力いるし。


 

 ――つづく。


「さて……アジト侵入か。どうなるかな」


「次回。殴り込みじゃああああ!なかなか野蛮だな。ピアスの発言だろうか?」

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