2話 お供を選ぼう
「「お祖父様」」
きらびやかなドレスを着た、見るからにお姫様のような女性がこの場に現れた。
金髪縦ロールの髪型、スタイルは抜群で誰もが振り返るほどの美人。
ただ失礼ながら、ツリ目で気が強そうに見える。この女性もまた問題児に見えなくもない。
「まだお名前も聞いてらっしゃらないですわ。ぜひ、勇者様のお名前を」
名を聞かれたので、とりあえず僕らは偽名だが答える。
「リブラです」
「私はシ、」
「まあ!リブラ様ですの!」
シズさんをタックルで弾き飛ばして、僕の左手をつかむお嬢様。
「聡明なお名前……そのお美しい顔にふさわしいですわ……」
「ちょ、ちょっとあなたなんなの……」
「ワタクシはこちらにおられる王の孫娘、エアリーズ・アルファ。エリスとお呼びくださいませリブラ様。守護星座はおひつじ座ですわ」
おひつじ座……アリエス、いやエアリーズか。
この世界は守護星座を名の由来にしてる人が多いのかな?
「守護星座をもじったり、そのままの名を名乗るにはそれ相応の才ないと認められないけどね」
ピアスが補足してくれた。
……心読まれてる?
そうなるとエリスお嬢様とピアスはそれほどの才があるわけか。 僕とシズさんは偽名として名乗ってるけどいいのかな?
「偽名じゃろ?それにお主は勇者じゃからリブラを名乗ってもよい」
なるほど……
――って、心読まれてるとしか思えないんですが……
「読んでるわけではないぞ。いちいち会話の手間省いたりしとるだけじゃ」
メタ発言はやめてもらいたい……
「お祖父様、ワタクシもリブラ様のお手伝いさせて下さい。ぜひ旅に同行を」
エリスお嬢様が王様へ直訴。
……大切な孫娘だろうし、許すわけ、
「いいよ!」
いいんかい!
孫娘可愛くないのかこの人……
「だってエリス怒らすと怖いんだもん」
もんじゃないですよ……おじいさんのセリフと考えると痛い……
満足そうに頷くエリスお嬢様はさらに注文をつける。
「ではお祖父様、護衛もつけて下さりますわよね?」
「はい!ただいま!」
どっちが王様だ……
「とはいえ、前に現れた勇者達にも護衛をつけたから……三人のうち一人だけにしてもらえんかの?国の守りをおろそかにできんし」
前にも勇者候補が?
僕は聞く。
「僕らみたいな人が訪ねてきたんですか?何人ほど?」
「千人くらいかの」
多くない!?せ、千人!?
「そ、その千人の人達は……?」
「みんなヤラれちゃった。テヘ」
かわいくないですから……
というかそれほど勇者候補いて全滅って、これかなりヤバイ事引き受けさせられたのでは?
いや、そもそも……
「その人達も能力手に入れる前に旅立たせました?」
「いや手に入れてたよ。弱かったけどのう」
……そこは手に入れてないにしてほしかった。なぜならやられた理由にもなるし。あるのに負けた。それなのになにもない今の僕たちが行けば………
――死ぬだけでは?
「ご心配なさらずリブラ様」
エリスお嬢様が僕の手を握り、まっすぐと見つめてくる。……さ、さすがに照れる。
「この国きっての実力者のワタクシがついて行くのです。それにおまけの倒置法クソ女もいますしね」
「誰が倒置法クソ女だ!羊なのに
ピアスが激昂。倒置法……ああしゃべり方の事か。
「あたしもいるんだけどね……」
忘れ去られてるシズさん。いや、僕は忘れてないから……
「まあ、お下品……このサソリ倒置法クソう◯こ女はほっときましょう」
あの、悪口多くなってますけど。というかお嬢様がう◯こはちょっと……
どっちがお下品かわからなくなる。
「とりあえず、お供用の者たち呼んできたのじゃが……よいですかエリス様?」
ついに王様が様付けしてるのですが。
エリスお嬢様が頷いたので、王様は連れてきた護衛の方々を紹介する。
「まず若手ホープ、騎士団副団長補佐の一番弟子、マクロ!」
「イエッサー!」
ムキムキマッチョの戦士が出てきた。……何故か上半身裸なんですけど。
というか副団長でもその補佐でもないのか。わかりづらいが、ホープと言われてるなら実力は申し分ないのかも。
エリスお嬢様を見ると、眉間にシワ寄せて明らかに不機嫌そう。
「クサそう、弱そう。チェンジで」
「いや、エリスお嬢様。まだ決めるのは……」
一応説得。強い可能性高いし。
「リブラ様がおっしゃるのなら」
エリスお嬢様は僕の肩に頭を乗せる。ち、近い。
「次!魔法師団の団長の一人息子の友達!アニュイ!」
「イエッサー!」
魔法使いか。……何故かまたムキムキマッチョで上半身裸なんですけど。
というか団長の子供の友達って団長関係ないじゃないですか……
さっきの人はまだホープらしいからいいけど……
ああ……エリスお嬢様がさらにイライラしている。
「チェンジ!」
……ですよね。
「まあでも……すごい人かもしれませんし」
僕は一応擁護しておく。
「リブラ様……なんてお優しい……ほら!次!」
エリスお嬢様に急かされ次の人が来る……
「次!田中のおじさん!」
「あはは〜どうも〜」
…………………………………
――え?
――つづく。
一体このおじさん、何者なのだろうか……
「次回 田中のおじさん……誰なんだ」
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