早く旅に出ろ編

1話  アルファ王国の危機?

「ついたわ。王国に」


 僕達一行は無事、何事もなく王国にたどり着く。

 城下町は活気に溢れ、出店もいっぱいある。子供も駆け回ってるし、治安も良さそう。


 とても平和が脅かされてるようには見えないが……


「とりあえず、行きましょ。城に」


 僕らは彼女について行くしかなかった。……そもそも僕はピアスに手を繋がれてるから逃げようもないが。


「王様ってどんな人なんです?」


 僕はピアスに聞いてみた。


「ん?ジジイ」


 いや、そうじゃなくて……


「てか、やめようよ。敬語。君とアタシの仲でしょ?ゲヘヘ」

「どんな仲でもないんですけど。というか会ったばかりでしょ」


 冷静なツッコミを浴びせてみせた。というか、笑い方キモいなこの人。

しかし、こうも女性を惑わすとは……まさに罪深い容姿なんだ僕は。


 そうこうしてる内に城につく。


「これ何階建て?」


 シズさんがマンションでも見たかのような反応をする。軽く見て10階くらいはありそうな高さ。横幅も広く、洋風なお城。

 門もバカでかく、10メートルくらいはあるだろうか?

 入口には当然門番の姿があったが、


「やあ」


 ピアスが手を挙げて門番に挨拶。あ、顔なじみなんだ。


――と、思ったのもつかの間。


「貴様ピアス!どのツラさげてやってきた!牢にぶち込んでくれる!」


 犯罪者的な対応!?何やらかしたこの女……


「うるせえ。お通りだよ?異世界人様の。どいてな雑魚は」


 ピアスは電気の塊みたいなものを手のひらから放出。


「ゲッチュー」


 かわいくピースした後に、放出していた電気玉を門番めがけて発射!

 電気玉は門に直撃すると同時に爆散。結果、門にばかでかい穴を開け、門番達をを吹き飛ばした。


「うわあああ!!」「敵襲だあ!であえであえ~!!」


 ……あの、ピアス。あんたがこの国を脅かす存在なのでは?



「よし!いこいこ」


 手足を大きくあげながら、元気よく歩き出すピアス。僕とシズさんはしぶしぶついていく。





 道中、何度も襲われた。

 その度にピアスは兵隊を撃退していたが。


 なんだ?僕達は城を襲う魔王軍かなにかか?と思い込みそうになる。

 僕とシズさんはなにもしていないとはいえ、この暴れん坊と共に来たわけだし。仲間と思われても仕方ないだろうな……


 ――で、僕達三人は無事に王の間へとたどり着く。


 そこには王様らしき人と守りの兵の方々がいた。

 ……あの、王様びくびくしてますけど。


 ピアスのいう通り、王様はおじいさんだった。背は小さめだが、わりと体つきはがっちりしてる。


「ぴ、ピアス……な、なにようじゃ?またイケメン紹介しろとかか?さ、探させるからもう暴れるのは……」


 明らかに怯えてる王様。

 この女、しょっちゅう男あさりにでも来てるのかな?

 王国の軍でも押さえられない、ヤバい奴というイメージしかこの女にはなくなってしまった。


「報告、異世界人、来タ」


 ピアスはなぜかカタコトっぽくしゃべった。


「何?詳シク、話セ」


 王様、あんたもか……

 つられただけかもだが。ノリがいいな。


 ――かくかくしかじか。

 とりあえず、僕とシズさんの事を説明。僕らもピアスよりは信用できる相手と思い、事細かく王様に話した。

 ――すると王様は言う。


「ふむ、なるほどのお。とりあえず、ワシらのために戦ってくれ」

「「は?」」


 いきなり何を?


「国のピンチに、異世界から勇者現れるという伝承があっての。まさに今この瞬間なのじゃ!」

「急にそんなこと言われても、僕らは戦う力などありませんよ?」


 僕がそう言うと、王様は……


「お主は勇者、黙ってても力を得られるから気にするな!」


 いや、気にするわ。


「とにかく、我が国は歴史上最大の危機が訪れておるのだ!勇者の可能性が高い貴殿に戦ってもらわんと困るのだ!」

「最大の危機?一体何が……?」

「悪イ大国、コノ国攻メル。危ナイ」


 だからなんでカタコトなんですか!とつっこみたくなるところ。 王様相手に無礼な真似はできないけど。


 かなり抽象的というか、簡単に説明しすぎではないだろうか?


「細かく説明しても!誰も興味ないじゃろ!尺とか、時間がもったいないわ!」


 身も蓋もない!というか尺とか言うな。


「「お祖父様」」


 女性の声が後ろから聞こえてきた。

 一体だれだろうか?


 ――つづく。


「先が思いやられる……」


「次回。お供を選ぼう。そこは重要だね」

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