5話 誰もが虜
「不味……」
渡された瓶の中の飲み物を、一気に飲んだ感想はそれだけだった。
別に体に変化もないし、能力を手に入れた様子もない。
ただ、不味い飲み物飲んだだけだったりしてね。
……ん?
周りの視線が……突き刺すようなこの視線は一体……?
「り、リブラ殿……」
王様が僕を呼んだため、視線を向ける……!?
お、王様の目がハートになってる!?え、何!?
僕を見てこうなったのか!?
そりゃあ僕は美形だよ!?でも、お、男ですよ!?
もしかして王様はそういう趣味が?
い、いえ他人の趣味嗜好にとやかくは言いませんが、僕にそんな趣味はない……
「リブラ殿~踏んでくれえ!」
「ギャア!!」
飛び込んできた王様を僕はうまく回避する。
状況が飲み込めない僕に追撃が来る!
「リブラ様!抱いて!」
「リブラ~あたしも踏んで!」
エリスお嬢様とピアスまで!?
「リブラ殿!」「リブラ殿!」
ち、違う!周りの兵士まで!?ど、どうなってるんだ!?
僕は部屋の人間全てに囲まれてしまった……
に、逃げ場がない……
「リブラ様!」「リブラ殿!」「リブラ!」
「ちょ、ちょっとま、待って!」
……その後僕はもみくちゃにされた……
ごちゃごちゃしてたし、僕の取り合いでみんなが殴り合いとか始めたものだから、特にひどい目には合わなかったが……
一体、なんだったんだ?
◇
その後、僕は仮面を渡されそれを装着。
すると騒ぎが少しおさまった。
どういうことなのかと言うと……
「リブラ様の能力、調べた結果……凄まじい魅了能力のようで、す……」
説明してる女性の顔が少し赤い……
――魅了?
「絶世の美男子であるリブラ様のお顔がさらなる強化をされ、老若男女問わず魅了してしまうのです」
「老若男女問わず?お、男も?」
「ええ。効果は美形の男性が好きな人と嫌いな人ほど魅了されるというもの」
「嫌いな人も!?」
「ええ。男性が虜になるのもそれが理由かもしれません……魅了されない人はおそらく、好きでも嫌いでもない無関心な人くらいかと」
そうなると、王様とかは美形が嫌いよりだったのか?
いや、僕の顔の良さは男でも好きな人いそうだから、そうとは限らない……か?
フッ、美しすぎるのも罪ということか。
「か、仮面をつけていれば、とりあえず魅了をおさえられると思うので……普段は仮面をしたほうがよいかと。大事なお顔も、ま、守れますし……」
この女性も魅了された口だろうか?
いちいち震えておられるし。
ただまあ、旅の道中で多くの方を魅了するわけにもいかないから、仕方ないか。
「リブラ様?終わりましたか!?」
エリスお嬢様が様子を見にやってきた。
なんか鼻息荒いですよ。
ちなみに先ほど僕の取り合いで殴りあいしてたため、口から血が出ていた。
エリスお嬢様もお美しいのだから、顔は大事にしてもらいたい。
そう思った僕は、彼女の血を手元にあったハンカチで拭いてあげた。
すると、感激した彼女は……
「リブラ様!結婚して!」
キスしようとしてきた。
――が、
「離れろ○○○○○!」
ピアスが暴言吐いてエリスお嬢様を止めた。
あまりにも酷い暴言だったため伏せ字。
あまり優しくするのも問題か?
しかし、エリスお嬢様に悪い感情ないし……
ピアスはおいといて。
そういえば悪意も出るとか言われてたが、今のところは特に何もないな。
――つづく。
「この能力って、……使い所あるのか?」
「次回。やっと旅立つ。……確かにダラダラしすぎたかもね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます