第14話結婚式当日の出来事
結婚式は予定通り行われた。
家族とA社の同僚の女性たちに囲まれての式だった。
工藤さん側には会社の同僚たちも来ていた。
花嫁の控室の前に数人の見学者がいた。
男女4人のその人たちは、私の姿を見て顔を伏せた。
始めにウエディングドレスを着て、同僚たちにあいさつに行った。
口々にきれいだとほめてくれた。
チャペルは吹き抜けになっていて二階席は見学者が見ることが出来た。
式が行われて、バージンロードを歩いている時、見学者が食い入るように見ていたのだった。
続いてベールとジャケットを取って、ウェディングドレスのお色直しに着替えた。
相変わらず花嫁控室の前に見学者がいた。
「はぁあ。」「なんと!」と見学者たちが声を上げた。
「モデルで来る花嫁さんよりきれいじゃない。」
「なんていうか、品があるのよね。」
介添えの人たちがほめてくれた。
見学者の人たちに対しては「ここは一般の人が出入りする場所じゃありませんよ。」
「見学の人は、移動してください。」と言っていた。
私は自分の式のことで頭がいっぱいで見学者の顔など見ていなかったが、後から振り返ると、それは前田さんと松川さん(とその彼女たち)だと思った。
花嫁控室から出てくるたびに見学者が立っていたが、その時には不審には思わなかった。
ケーキ入刀が終わりいよいよお色直しになった。その時も見学者たちはいたが、気にせずキャンドルサービスを行った。
滞りなく式が終わり、みんな帰っていった。
工藤さんの友人が残っており、二人であいさつした。
その時は見学者がチャペルの2階の裏側にいた。
そしてその友人が私に近づいたので、工藤さんが後ろに私を隠した。
「ちょっと顔をよく見ようとしただけじゃないか。」友人の人は言った。
「お前は女好きだから油断ならないんだ。」と工藤さんが言った。
工藤さんの後ろから覗くように私が見ていると、上の方で「あんなにかわいい。あんなにかわいい。」と悲鳴のような声がした。
上を向くと見学者がこちらを見ていた。女性たちは帰ったようで男の2人組だった。
工藤さんが振り向いて「ばーか。」と言った。
すると見学者の一人が暴れだした。
それを見てもうひとりが「もううんざりだ。いい加減にしろ。」と言った。
私がそちらの方を向いたので、工藤さんがひっぱって見えないように立ちはだかった。
そして、見学者たちは係の人に「あなたたちまだいたんですか?いい加減にしてください。」と注意されていた。
そしてすべてが終わり私は私服に着替えて、工藤さんのもとに行った。
「おなかすいちゃった。食べれなかったものね。」と私が言って、食事に行くことになった。
そして食事を終え、新居へと帰っていった。
工藤さんは友人たちと2次会の飲み会に出かけて行った。
私は一人で新居に戻ったが、2人組につけられて、居場所を知られてしまった。
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