再開
殲滅が終わりミヤコさん達の元へ急いで戻る。何度問い掛けても帰ってこない。想像よりも状況は良くないのかもしれない。
果物屋を見に行くとボロボロになったミヤコさんとソフィー。それに神聖騎士団と思しき人間が数人対峙している!
"存在証明"「「境界」」
「ミヤコさん!ソフィー!大丈夫ですか!?遅れて申し訳ありません!」
これ以上ダメージを負わないように敵との間に境界を引く。物質自体を遮断と定義した為これ以上は被害が広がらないだろう。
ミヤコさんとソフィーはボロボロだ。だが息はあるし自立出来ている為大丈夫だろう。他の吸血鬼も2人ほどのダメージはなさそうだ。
「マナト様!!」
ミヤコさんが抱き着いてくる!!少し動揺したが耳元に口を寄せて淡々と状況を報告してくれた。
「あの女性は司祭クラス、つまり強化されていますので人間だと思わないほうが良いです。武器も特殊な能力を持っている可能性が高いです」
強かな女性だ。こんなにボロボロになっているのに感動の再開を装って情報共有をしてくれる。演技とはいえ一瞬ドキッとしてしまった俺よりよほど強い。
「それと、あの吸血鬼…でしょうか?男性は私達も分かりません。少なくとも神聖騎士団と協力関係では無さそうですが……」
了解をし、とりあえずはミヤコさんとソフィーさんの手当をする。傷が治らないほど血力を消費しているため止血のため包帯を巻かないと悪化する。
「次から次に何なんだい!敵ばっかり増えていくじゃないか!ヴァレリアス達は何をしてるんだ!」
「俺関係ないんで次行ってもいいッスかね?」
「はぁ!?吸血鬼は皆殺しに決まってんだろ!」
コントでもしてんのか……?司祭であろう女性と軽薄そうな口調の男性吸血鬼が言い争っている。
「いやいや、俺関係ないじゃないッスか!落とし物取りに来ただけッスよ!」
ヒュンヒュンヒュンと鞭が音を鳴らし男に食らいつく。
吸血鬼は余裕でかわしぼそっと面倒くさがりながら力開放した。
あれ…?よく見るとアイツ…
"存在証明"「「宇宙の絆」」
ガシャン!
突如重力が強くなる!吸血鬼の男以外全員膝を付き地面に伏している。
なんとか立ち上がり戦闘に備え仮面に血力を込め鎌を構える。重力を操るスキルだろうか。
「ありゃ、一人だけ立ってられるんスね。面倒だなぁ……っいてぇ!」
ゴン。と境界に額をぶつけ痛がっている。近づいてきた事で解ったがやっぱり…
「サイト!!サイトだろ!久しぶり!!」
訝しむようにこちらを見ている。仮面を外し忘れた。
「………んん!?兄貴!?兄貴じゃないッスか!!うわー!マジか!!」
「まさかこんなところで再開するとはな…おい!後ろ!」
境界を張る。司祭が鞭を振り下ろしていたのだかギリギリ間に合った。
「うわっ!あぶねっ!」
「なんつーか、変わってないな」
「兄貴こそ。相変わらずッスね!」
懐かしい。なんだかんだ気心知れている仲間、いや、友達はコイツだけな気もする。
久々の再開に話を咲かしたい気持ちは満々だ。いや、だからこそ
「「さっさと片付けるぞ(ッス!)」」
体が軽くなる。サイトの能力の対象外になったのだろう。
対象的に敵の動きは悪くなる。司祭の鞭を振る手も重く遅い。
「境界!」
鞭の途中で線を引く。すると押すも引くも出来なくなり一切動かなくなる。
「ごめんな、実力出し切る前に死んでもらう」
鞭が動かないことに驚き目線を離した一瞬で首を落とす。
「兄貴!」
振り向くと終わったようだ。ニヤッとしながらこちらに拳を突き出している。
「お疲れ!」
ゴツン、と拳をぶつけ再開を祝う。
「わりぃ、ちょっと皆を安全な場所まで送ってくるわ」
「オッケーッス!俺もちょっとまだここに用事有るんで済ませときますわ!」
「おう!じゃ、またな!」
再度拳をぶつけ別れる。ミヤコさん達の方を向くと不思議そうな顔をしているので知り合いだ、とだけ伝える。
それよりも血力が枯渇しているであろう2人にと神聖騎士団の死体を2つ投げて渡す。特に怪我の酷いミヤコさんには滋養強壮に良さそうなので司祭の死体を渡す。
「あ、いや、マナト様……?私結構頑張ったと思うのですが…?」
ん?もちろんボロボロになるまで戦ったミヤコさんが一番頑張ったと思うけど…
「いえ、失礼しました。司祭以上の神聖騎士団員は聖別といった儀式を経て人間の力とは別種の……」
あぁ…だからなんか少しピリッとするのか!ミヤコさんは意外と好き嫌いするタイプなんだなぁ。
しょうがないと思いつつ最大の功労者だし、別の死体を持っていってあげる。手元の司祭と交換だ。
ミヤコさんは交換してあげるとお礼を言ってきたので頷き司祭の血を吸った。
「いや!マナト様!?毒が………?」
「ふぅ…やっぱりピリッとしますね!しっかし意外だなー。ミヤコさんって好き嫌いとか無そうなイメージありましたよ!
まぁ好みは人それぞれですもんね。」
「えぇ……?」
ミヤコさんとソフィーさんが飲み終わるまで境界を周囲に張り待つ。
何度か使用して解ったが条件付けが複雑になるほど血力を使うようだ。一切の物質を通さないといった条件は複雑ではないが指定の範囲が大きいため割と疲れる。
「マナト様、ありがとうございました」
ミヤコさんは飲み終わったようで遺体をそっと地面において両手を合わせている。ソフィーは飲むのも一苦労といった様子だ。
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