今後
パンッとヴィクトリアさんが暗い雰囲気を打ち払うように音を鳴らした。
「さぁ!君は今後どうするんだ!ここに所属してもいいし旅を続けてもいい!世界は広いんだ!後悔はしないように選択してくれたまえ!」
ヴィクトリアさんは芝居がかった動きや声色で問いかけてくる。
「俺も後悔しないようにします、いつか俺とエアクラさんと三人で飲みにでも行きましょう!」
-おいおい、俺は仲間にゃ入れてくれねぇのか?-
-私もいますよ?-
「では5人で行こうではないか!……ではそろそろ行くが私は明日まではいる。なにかあれば遠慮なく声をかけてくれたまえ、ではな!」
-坊主、吹っ切れた良い顔してんじゃねぇか!応援してっからな!-
「ありがとうございました!」
ヴィクトリアさんが退室するまでお辞儀をして見送る。
-これからどうしますか?ブラッドレイブンに所属でもしますか?-
「難しいな。ブレンシュさんとエアクラさんは姉妹のようなものだって言ってたからそっちを頼りにするのもいいなって思ってるんだけど…」
-どうなるかわかりません。ただ、宛の一つにはなるでしょうね-
「とりあえずブレンシュさんが協力してくれてもしてくれなくてもブラッドレイブンとの関係は切りたくないから次の仕事は1回付き合ってから決めようかなって思ってるんだけど……時間がないから焦りもあって…」
-焦りは思考を駄目にします。落ち着いて考えてください。考えいる時間を無駄だと考え始めたら一度自分を見直すべきです。………もちろん無駄な時間を過ごせと言っているわけではないですよ?-
「久しぶりに口を開いたと思ったら相変わらず厳しいな」
笑いながら軽口で返すと珍しく期限が良さそうなトーンで
-ママに飢えているとは思いませんでした、甘えてもいいんですよ-
「はっ!武器が何を!」
トゥド・センザは珍しく「ふふふ」と笑っていた。
─────────────────
「あ、マナトさん。何かご不便はありませんか?」
「おかげさまで快適に過ごせてます!色々気を回してもらってありがとうございます」
修練場から部屋に戻ろうと歩いていたらミヤコさんと出会った。こちらに気づき小走りで走って来る姿は可愛らしいものだった。忙しくて気づかなかったが小柄で細身の為少女のような印象を受ける。
態度がしっかりしているため大きく見えていたのだ。
「ミヤコさん。所属の話なのですがまだ決めかねていて…もしよければ何度か仕事をご一緒させて頂いてから決めてもいいですか…?」
瞳を輝かせながら頷くミヤコさん。
「もちろんです!では報酬ですが何か欲しいものがあれば仰ってください!それとも遺物になさいますか?」
遺物…ヴィクトリアさんに詳しく聞くべきだったな。
「すいません、遺物について詳しくなく…」
「それは失礼しました、簡単に説明しますと遺物とは所謂オーパーツです。オーパーツの中でも血力を流し特殊な力を使用できる道具のことを指します」
「なるほど……?」
「失礼ですが背負っている鎌は遺物ではないのですか…?」
返事を催促するようにトゥド・センザをノックする。
-叩かなくても聞こえてます、私は異物ではありません。エアクラ様に作られました-
「…!意思があるのですね。ヴィクトリアさんの武器もインテリジェンスウェポンでしたが、遺物でした……マナトさんは謎が多いですね」
「報酬の遺物はどんなものがあるのですか?」
「そうですね、時を操る時計、風を操る剣、雷を操る笛、火を操る杖など色々ありますが…」
想像よりファンタジーしていた。今後戦闘が増えるであろう
ことを見越して自分の戦力強化は必須だろう。
「遺物を使ったことないので次の任務前に貰って試運転…みたいな事ってできますか?」
ミヤコさんは頬に手を当て考え込む。
「うーん…………あ、そうでした。あの一族の能力情報の報酬お支払してませんでしたね!倉庫に案内するので好きなもの1つお選びしていただくのはどうですか?」
言外にそれは出来ないと言われたが意向を組んでくれたのだろう。礼を伝えるとミヤコさんは後でくるようでとりあえず先に見ててくれとメイドさんに案内された。
先程まで見ていたブロンド髪ポニーテールの女性だ。拠点に来たとき待合室まで案内してくれたメイドさんだった。知らない人じゃなくて少し安心した。
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