能力




「ここはな、ブラッドレイブンの訓練場で地下深くの天然洞窟を使用しているため暴れても音が地上まで聞こえないんだ。それに特殊遺物の力で頑丈&自然修理付きだ!」




-坊主の力が特殊過ぎるから俺も知りてぇ!……けどよ、ヴィクトリアがあんまりにもしつこかったら断れよ……?じゃねぇと何年…いや。どんだけの時間付き合わされるか分からねぇからな……-






「あはは……お手柔らかにお願いしますよ…」






 連れてこらてた修練場はかなり大きく広さは体育館4つ分はあった。何組かの吸血鬼が訓練して入る。


 内観は完全に洞窟だが岩肌は磨き上げられたようにツルツル、何か膜が張っているかのような不思議な質感だ。




「さて、君から聞いた話をまとめると、だ。吸血鬼から血族の力を吸血できると仮定できる。




【継戦】の血族は吸血鬼から吸血出来るのが能力だとばかり思っていたが…エアクラからは何か聞いていないのか?」






「特には何も…エアクラさんは戦闘で本気を出している所はほぼ見ていませんし、大体は存在証明で戦っていました」




「私もそうだ。まぁ彼女ほどになるとわざわざ使うまでのないのかもしれないがな…」




「………この能力が俺の存在証明とかではないですか…?」




「初見で私もそう考えた。だが君が自覚してないのならそれはないだろう。というのも存在証明とは自身の根源であるからな、発現した瞬間に使い方や名前が本能的に分かるものなのだ」




「初期段階とかはどうです?」




-それもねぇな、徐々に目覚める種類の能力じゃねぇ-




「……まぁ考えていても仕方なかろうよ、試しに【叡智】の力を使って何か作ってみてくれ。そうだな、先程作っていた縄などどうだ?」




 力を集中し先程の感覚を思い出そうとする……だが当たり前にできた感覚が今では思い出せない




「………だめ、ですね。感覚が掴めません」






 ヴィクトリアさんがスッと腕に傷を入れ差し出してくる。飲め、ということだろう。




 少し気恥ずかしさはあったが好意に甘え一口だけもらった。疲れていたのだろう、回復していく感覚が心地よい。




「では、もう一度試してくれないか?」




 グッと手に力を入れ血力を集める。脳裏にイメージした縄が手からズルズルと引き抜かれる!!




「あれ!?出来た!!出来ました!!」






「なるほど。吸血から時間が立つと使用不可になると………だが再度吸血すれば使えるように…」




 ヴィクトリアさんはブツブツと考え込んでいる。




 せっかくなのでもうちょっと練習しておこうと何本か縄を出す。いろいろなバリエーションを生成しようとするが途中でプツンと縄が切れそれ以降生成出来なくなった。






「おおーーい!そこの君!!…………そう!そこの男の子だ!…君!ちょっとこちらへ来てくれないかい!」


 ヴィクトリアさんは急に顔を上げ大声で叫ぶ。呼ばれた若い男性吸血鬼は小走りでこちらへ来る。






「ヴィクトリアさん!この前は間一髪のところありがとうございました!」




 ヴィクトリアさんは鷹揚に頷きながら男性の腕を掴み袖を捲くる。




「いい、気にしないでくれ。……いや、礼を返してもらうとするか。少し彼に血を分けてやってくれないか?」




 男性は俺とヴィクトリアさんを交互に見ると、正気かコイツら!と驚愕を浮かべる。




「大丈夫。彼は特殊でね、吸血鬼から吸血できるんだよ。化物にはならんさ」






 ヴィクトリアさんがそうおっしゃるなら……と男性は消極的にだが腕に傷をつけ差し出してくる。


 礼を言いながら一口だけもらう。




「君はたしか……【暴虐】だったかな?………うむ、もう行っていいよ。ありがとう、助かったよ」






 この前は本当にありがとうございました!失礼します!と元いた場所に戻っていった。




 【暴虐】の力は以前にも使用した事がある。感覚も物を作るのに比べれば分かりやすく死ぬ思いをした為ハッキリ覚えている。




 ポケットから煙草を出し口に加える。右手を銃のような形にして人差し指から火を出し喫煙をする。




「やはり吸血と同時に血力を取り込んでいるのか…」




 ヴィクトリアさんはまた血を差し出してくる。一度やった為恥ずかしさも薄れ遠慮なく一口貰う。




 もう一度縄…は面白みがないため小さな短剣を生成する。




「まだ【暴虐】の力は使えるか?」




 右手から拳大の炎を出す。少しガス欠気味だがうまく出せたがすぐに消えてしまった。




「最後に吸った血だけって訳じゃなさそうですね、ただ吸った量に左右されるみたいです。少ないと持ちも悪い」




 なるほどと呟くとその後限界まで【叡智】の力を使い、また一口だけヴィクトリアさんの血をもらった。




「次は持続力のテストだ。使わなければずっと保存できるのか……または…?」




「あ、以前まだ使えるはずなのに時間たったら使えなくなりました」




「血力は長期間留めておけない、と」




 ヴィクトリアさんは必死にメモを取っている。




「他には何か気づいたことはあるか?どんな些細なことでもよい!」




 自らの血武器と混合する "吸血飛槍"なども伝えようかと思ったが…メモが流出する恐れもあるため黙っておく。






-おいおい、ヴィクトリア!坊主が困っちまってんじゃねぇかよ!-


「だがな、マナト殿はエアクラの復活を企んでいるんのだぞ?その為には力をよく知り鍛えることがだな……」






 ヴィクトリアさんと剣は和気藹々?と話している。うちのトゥド・センザと比べ良く喋るようだ。




 だが確かに、復活の為に自分をよく知り存在証明を取得する必要がある、そう考えると確かに………






「復活!?!?」

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