門番
「君にとって"人間"とはどんな存在だい?」
人間、俺にとっての人間か
「正直どうとかはあまりありませんね…俺らと何か変わるとも思いませんし…。ただ、か弱い存在だなと思います」
「………なるほど、神聖騎士団なども居るがあれらもか弱いと?」
「アイツラは見つけ次第殺す」
神聖騎士団。吸血鬼を見つけ次第捕らえ殺す奴ら。
スンとエアクラさんを…
「そうか…分かったよ。覚悟をして進む事だね。」
ヴィクトリアさんは細剣をしまいふり返る。
「じゃあ君が長生き出来たらいずれかまた会うだろう。」
歩いて去っていく。「あぁ」と思い返した様にこちらをふり返る
「そうだ、君、身の回りには気をつけたほうがいいよ。それじゃあね」
どういうことだ、そう尋ねる前に飛び去ってしまった。
-変わった方でしたね-
「随分静かだったな、まぁいいや、行こうか。」
-はい。警戒を怠らずに-
────────────────────
「そこで止まれ!」
近づくと軍服の二人組に銃を構えられた。
「所属と目的は?」
「あぁいや、旅をしていまして。そこでクマに襲われてしまって全て荷物を置いてきてしまいまして…、ここで何か買えないかと」
「そうか、それは災難だな。だがここはただの石切場だ。食料とかは特にないぞ」
「待て、上に掛け合ってこよう」
「おい、持ち場離れるなよ」
「まぁ大丈夫だろ、離れてるし銃は下ろすなよ?」
「おい待てって!吸血鬼だったどうするんだよ!!」
「バカ!それを言うなって!一般人の前だぞ!」
ハッとした顔でこちらを見てくる。こいつらの自爆で戦闘とか嫌だぞ…?
「吸血鬼?そういったグループのギャングかテロリストがいるんですか?」
「お、おう、そうなんだよ。だから警備がいるんだ」
明らかにホッとした安堵の表情を浮かべている。どうやら正解のようだ。
警備の一人がため息をつきながら中へ入っていく。沈黙が気まずいのか質問された
「にしても不運なやつだな。背負っているのはテントか?」
「えぇ、設営をしようと荷物を下ろしたときに遭遇しまして…無我夢中で走っていたのでテントを下ろす暇すらありませんでしたよ」
ハハハとお互いに笑いながら話す。銃口は下がらない。
後ろからガタガタと車の音がする。音が反響するからよく聞こえるがかなり遠くのようだ。
警備が顔を青くしてこちらに駆け寄ってくる。
「おい!ちょっと状況が変わった!こっち来い!」
「な!何ですかいきなり!」
腕を強く摑まれる。敵意はないようなので素直に捕まる。
「お偉いさんが来たんだよ!性格悪いやつでさ、警備が一人いないのマズイんだよ……協力してくれるよな!な!
服着て立っててくれりゃそれでいい!通るときに敬礼でもしてくれたらもう最高だ!俺の晩飯やってもいい!頼むって!」
俺のせいでもあるしな…
「わ、分かりました…顔でバレませんかね?」
「お偉いさんだぞ?いちいち顔なんて覚えてねぇって!」
そう言いながら柵の内側の小屋から手早く服や予備の銃を取り出す。
「さ!これ来てそこに立っててくれ!言うまでもないが無駄に喋ったりはしなくていいからな!」
「なぜ私がこのような僻地に来なければならないのだ…」
車の運転席から顔を出した男がボヤいている。中に入るためには所定の手続きが必要らしく警備が忙しなく動いている。
「早くせんか!おい!そこのお前なにを突っ立っている!お前は動かんか!」
がっしりとした身体に短く切った黒髪は上にあげていたのだろうが風や汗で少し乱れている。
鋭い目線がこちらを睨みつけてくる。
「は!ジェラール・ド・エンパイア様!彼は配属されたばかりでまだ手続きには不慣れでありますので!自分が精一杯手続きをさせていただきます!」
「はぁ…自分がなぜこんな僻地に…私であれば門番に新人など立たせんな……」
手持ち無沙汰でやることが無く周囲を見渡すと先程の小屋に水のペットボトルがおいてある。新品だ。
ジェラールと呼ばれたお偉いさんは汗をかいている。車のペットボトルホルダーには何もないので水を持っていくと少し驚いた顔をして受け取った。
少しして手続きが終わったのか中へ進んでいく。車は別のものが車庫に入れるのかジェラールと名乗った人間は徒歩で中には行っていく。スーツ姿だが筋肉隆々といった容姿だ。
目につく人全員に叫んでいる、高慢な態度が正直目に余る。
「はぁ……良かったよ。助かった。突き合わせちまって悪いな」
「いえ、いいですよ……もとを辿れば私のせいですしね
ところで……」
「おい!そこの新人門番!こっち来い!!」
ジェラールの声が遠くにいる俺達にまで響く
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