スンとの再開


「そういえばさ、ブレンシュさんの言ってた側近の人、エアクラさんも知ってる人なの?」




「うん、知ってるよー!結構長生きしてたし強かったと思うんだけどなんで捕まっちゃったんだろうねー」




「……まだよく分かってないんだけど神聖騎士団って強い人?居るの?」




「うぅーん、そうだねぇ…私はよくわからないけど捕まっちゃう人も多いみたいだからいるんじゃないかな?




あ、でも昔に会った枢機卿クラスは強かったなぁ。マナト君は出会ったらすぐに逃げてね?吸血鬼よりも不思議な力使うからね」




 さっきの騎士団のリーダー格の男もそうだった。呆気なくエアクラさんに倒されたがブレンシュさんのあの、大火力の一撃を防ぎきっていたのだ。


 周りが凄すぎて分からなかったが絶対に俺じゃどうにも出来なかっただろう。






「………そういえばさ、エアクラさんの必殺?あれ2回見ても全く理解できなかったんだけど剣で切ってるの?」






「ん?屠殺のことかな?あれば仕組みとか理解、そういう物じゃないよ。」




早すぎで見えない…とか?




「んーん?簡単に説明するとね、避けるとか防ぐとかないの。食事してるだけだし」






食事?本当どういう意味なのか分からない。たしかに何か食べていたが避けれない?




「まぁ存在証明覚えないと難しいよね。もう概念とかの話になっちゃうし、そのうちわかるよ!」




「……覚えるために俺に使ってもらう出来ないかな?」




「屠殺!?駄目だよ!絶対死んじゃうもん!それに前も言ったかもだけどテクニックとかの問題じゃないもん!そんな危ないことはだめ!」




膨れてみた。




「可愛いけどダメー!」




ダメか。




「分かったよ、諦める。でも良かったね、ブレンシュさん弔い合戦して形見は取り返してたもんね。」






「え?形見?誰か死んだの?」




側近の人の血晶を持っていたような気がしたが…




「あ、あぁ!そうだよね!えっとね、彼は死んでないよ」




 説明が長かったので要約すると


 血臓が破壊されると死ぬ、その際に血晶を残す




 貴族以上の吸血鬼は血晶に身体情報などが保存されている




 そのため貴族以上の血晶に同血族の血力を膨大な量流せば再解凍され復活できる






だが、血晶を破壊されると復活できない、完全な死となるみたいだ。






「真祖レベルになると血晶をとられても身体は動くなんて都市伝説あるけどねー。眉唾だよ、血臓がないと血力作れないもん」






 吸血鬼の中でもそういう噂話みたいなものあるんだな。




「エアクラさんはやられた事…なさそうだね」




「もっちろん!こう見えても負けたこと無いからね!」






 だろうな、どう考えても"屠殺"はチートだ。回避、防御不可即死技だろ?勝ち方を想像することが出来ない。










 いつの間にか村についていた。まだ騒がしいので皆に説明して回る




「みなさん!大丈夫ですよ!先回りしてこちらに向かっていた吸血鬼の方は大回りして行きました!こちらへは来ませんよ!」






 村のあちらこちらで叫ぶとみんな落ち着き始めたようだ。


一周してもとの位置に戻ってきた。ここだけまた別の騒がしさがあったのだ。




「皆さんどうしたんです?」




「向こうから近づいてくる人間がいて…少女一人なので害はなさそうですが…」




 目を向けると森から駆け寄ってくる一人の少女の姿があった。


 栗色の髪が走る振動でリズミカルにはねている。腕にはブレスレットをつけている。見間違うはずがない。最近まで一緒にいたのだ。






「スン!?おーーーい!!スン!」




 なんだ、知り合いか。と村人たちは散り始める




「マナト様!!……会いたく…なっちゃって!!……来ちゃいました!」




 息を切らしながら叫んでいる。恥ずかしいが嬉しかった。




「ちょ…良かった!久しぶりだね!」








バスン!








空気の抜けた様な音が聞こえた。








目の前のスンが






スンが、口から血を流している








胸に大きな穴が、穴が!!




穴が空いている!!!






「スン!!」






前のめりに倒れ込むスン。


受け止めようとするが、






サァァァ………






手が触れる前に






灰になってしまった。手が空をきる。耐えきれず叫ぼうとするが






「………ごぽ…ズン……あ…」






「ぁぁ!マナト君!!」




 エアクラさんの悲痛な叫びが聞こえた。

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