「ふふふ……これで貴方は私の奴隷よ………」




"マナト"これが自分の名前になるのだと理解するとスッと全身が楽になった。


「エアクラさん…?一体どういうことですか!?」




「ん?ふふっ…冗談よ!ビックリした!?」




は??いや、じゃあの痛みはなんだったんだ!!




「名前が決まると個人能力"存在証明"が出来るみたいなのよね。あ、まだ使えるわけじゃないからね!」




えぇ、?じゃあ本当にただの冗談なのか……?




「タイミング悪かったね、ごめんごめん。」


ケラケラと笑いながら謝罪してくる。まったく、この人は本当に何歳なんだまったく…!


だけどそうか、俺も吸血鬼になったんだったな……




「これからどうするかとか色々考えなきゃいけないことあると思うとりあえず今日は疲れちゃったでしょ、寝ようか」








 今さらだが男女二人でいることに気がついてしまった、エアクラは控えめに言っても美少女なのだ。外見はメンヘラっぽいが喋っていると優しい女の子で非常に好感がもてる。


 チラッとエアクラの方を見ると、しっとりと濡れた髪やピンクのもこもこルームウェア、酔ったのか若草色の瞳を潤ませながら不思議そうに小首を傾げている。


あざとい、が男にはあざとい位が刺さる。




「………もしかしてまだ怖いかな?そうだよね、いろんな事があったし命も狙われたもんね、大丈夫!私強いんだから!返り討ちにしてあげるよ!」




 隣に腰掛けられ手を握られる。フワッとフローラルな香りがする。同じシャンプーのはずなのにこんなにも違うのか。


ドヤ顔をしているのがそれすらあざとく見えてしまう。




照れてグラスに入っているワインを一気に飲み干す。




「と、トイレに行ってきます!」


トイレへ向かおうと立ち上がろうとしたとき足の力が抜けた。


眠気も急激に襲ってきた。




「やっぱり疲れてたのね、寝ちゃってもいいのよ。本当にお疲れ様。」








「………………ごめんなさいね。」






意識が落ちる寸前、申し訳無さそうなその声だけが響いた。

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