現状


そうだ!スマホ見れば何かしら記憶につながるものが見つかるはずだ!


お風呂から上がったら見てみよう。




 シャンプー、ボディソープが見た事ないお洒落なものだ。……英語ですらなくどっちがどっちかわからない…


まぁ間違っても大丈夫だろう!よし!緑がシャンプーでピンクがボディソープだ!!


淡い青は………知らん!!


緑のボトルを押す……ニュルっと明らかにコンディショナーが出てきた、当然泡ただない


くそぅ、外れか……




「シャツとか洗っとくね、それと着替えとタオル置いとくからねー!」




「あ、ありがとうございますー」




そう言い体を洗い風呂を上がった












「お風呂ありがとうございました。サッパリしたり落ち着きました。」




「いいんだよ!服、サイズ大丈夫?」




 グレーのスウェットだがピッタリだった


ポケットの中のものが机の上に置かれていた。財布やスマホも置いてある




スマホを手に取ると完全に壊れていた。画面は半分もげているし基盤はバキバキになっている。


財布もお金以外は入っていない。免許や保健所などは全てなくカード類も一切ないのだ




「スマホ、壊れちゃってるね。自分のこと調べたかったんだよね?」




落胆しているとエアクラがまだワインを飲んでいた




「まぁ、よく考えたらパスワードも覚えてないんですけどね。指紋認証ならなんとかと思っていたんですが…」




エアクラは驚いた顔をしている。


「今時はそんなのが個人の端末であるのねぇ、知らなかったわ…」




 見た目は若いが吸血鬼は長寿といった伝説がある。もしかしてそういうことか…?流石に女性に年齢は聞けないが…




「財布もお金以外は全てなくなってました…本格的に詰み、ですね」


机の上には財布、スマホ、煙草とライターしかなかったのだ。




「そうそう、そういえば吸血鬼になったら新しく名前をつける風習があるのよ。親吸血鬼がつけるものなんだけど、希望とかあるかな?」






 名前、か。今は自分の名前"黒井悠紀"しか自分がないのでそのままでと言いたいがエアクラはワクワクした顔をしている


ここまでお世話になっていて断るのは気が引けた。


それに郷に入っては郷に従えなどと言うし、今の名前がなくなるわけではないのだ、受け入れよう。




「いや、特にはないですね。できればカッコイイ名前をお願いしたいです」




名前を考えるとどうしても日本人的な名前になってしまう、他の吸血鬼はみんな日本人な見た目でもカタカナな名前であったのでおそらくそういう事なのだろう。






「マナト、あなたの名前は今日からマナトよ。」






"マナト"そう呼ばれた瞬間に心臓が跳ねた、鼓動が強くなり血液が全身をかけめぐる。血管がビギッと悲鳴を上げる。






「ふふふ……これで貴方は私の奴隷よ………」

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