真祖の力

「さて、レクチャーしていくからすこぉしだけ本気出さなきゃね


ローディ君だっけ?君も全力でおいでね!」


小首を傾げ笑顔のエアクラが1歩前に出る






「可愛らしい外見に騙されるような若輩ではないぞ!王よ!





 雄叫びを上げながらローディが両手を組み上からハンマーの様に打ち下ろす。


エアクラは横に飛び退きかわし拳が地面に激突した瞬間地面が大きく揺れた!




「なぁ!?地震!?」


「兄貴、ローディ様は怪力自慢なんスよ。噂じゃゲンコツ一撃でビルを倒せるとかって話っすよ…」




 地面のヒビ割れ方を見ると冗談と思えない。先程の戦闘の様子からエアクラが弱いとは思わないが大丈夫だろうか




「lesson1、吸血鬼には血族によって固有の特殊能力があるわ」


 そう言いエアクラはローディの拳を掴むように手のひらで受け止める


鼓膜が破裂しそうな爆裂音が身体を揺らす




「ケホッ、、、【暴虐】の血族だと火を出したり爆発したり、力が強くなったりするわね」




 大爆発に巻き込まれたエアクラは少しむせた程度のダメージしかないようだ。涼しげな顔で解説をしている






「lesson2、吸血鬼は血の濃さで力の大部分が決まるよ!ローディ君だと………結構強いし真祖の次、第1世代くらいかな?」




「ラッシュをなんでもない顔で受け止めながら褒められてもなぁ!!ちなみに第2世代だ!!」




 拳骨のラッシュ、俺の目からは全く見えない、早すぎて二人の肘から先が消えたようにしか見えない




「あら、ごめんなさいね。第2世代でその強さなら凄いよ、頑張ったんだね」




「このままではジリ貧なのは目に見えている、全力で行くぞ!!」




そういいローディは目をつぶり全身に力を込めているようだ




「lesson3、ある程度血が濃い吸血鬼は個人で別に能力を持っていることがあるの。それを存在証明って言うのよ!今からローディ君が見せてくれるわ!楽しみね」






「待たせたな、王よ!手加減はできんから傷物にしてしまったらスマンな!!」






     "存在証明" 「「烈火神の代行者」」



瞬間、ローディを中心に火柱が立つ。強烈な熱に地面が溶解しふつふつと音を立てている




20mくらいは離れている俺ですら呼吸がし難くなる熱量を放っている






 ふっと火柱が消えるとそこには首から上と胸の中心が炎になったローディが立っていた、背後には炎の輪が浮遊している


服は熱で消し飛んだらしい。中に着込んでいたであろう鎖のような素材で出来たズボンのみになっている




「この形態は長く維持できなくてな、手短に行くぞ」




炎でできた顔でそう喋る、一歩踏み出すたびに蒸発するような音が聴こえコンクリートが赤熱化し溶解している




「うーん、これは流石に当たったら火傷しちゃいそう。触れたくないわね」




 そう言って彼女は左手で自らの右手首を切った


粘着質な音がし手首から大量の血が出たかと思えば剣の形をとったのだ、剣はそのまま彼女の右手に握られ傷物と血の糸で繋がっている






「lesson4、吸血鬼は血臓けつぞうが弱点。心臓の右側にあるからそれを狙えば楽に勝てる………んだけど、彼弱点無くなっちゃったね……」




「この形態であれば血力が尽きるその瞬間まで戦えるのだ!」




 ローディはそう言うと蝋燭の火が消えるかのように、フッと消えたかと思うと上空からエアクラに襲いかかった


ギャリッと金属同士のこすれる嫌な音がした




「いや、液体と肉体がぶつかってこんな音するか…?普通」




「兄貴、ローディ様はうちの血族でもかなり上位の吸血鬼っすよ、エアクラさんも王とか言われてるし…


上位の吸血鬼は素手で鉄くらい引き千切るくらいは当然にしますよ」




吸血鬼、怖っ


人間が滅びてないのが不思議なくらいだ






「っはぁ、はぁ、…何故だ、切り結ぶ度に体力と血力がなくなっていく……っはぁ…はぁ…」




「や〜っと気付いたの?ローディ君は強いけど鈍感なんだね


ゆうきくん、これが私達【継戦】の血族の能力。吸血だよ!」






「なるほど、そういう事だったんスね!」


「いやごめんごめん、どういうこと?全然わからないし吸血鬼なんだから吸血できるでしょそりゃ」




サイトが説明してくれた


本来吸血鬼が吸血できるのは人間のみ、人間の血液は吸血後に血臓で処理されてエネルギー、血力になるらしい。


吸血鬼の血を吸うとエネルギー同士が反発し合う為弱点である血臓が深刻なダメージを負うそうだ




「じゃあ私もみせてあげるね?周囲に気をつけるように!」








       "存在証明"「「収穫祭」」






「………んん?なにも変わらないではないか、自己強化タイプか?……がぁっ!!がぁぁぁ…」


ローディの右肩を血でできた剣が後ろから貫いていた。


剣が吸血している、みるみるうちにローディの右腕から筋肉が落ち萎んでゆく。




「だから言ったじゃん、ほらほらまだまだ!!」




空間から自在に剣が、鉈が、槍が出現にローディを狙う




「な、め、るなぁ!!!!」




 ローディが方に刺さった剣を無理矢理引き抜き上空に回避する。


バサ、とコウモリの翼がローディの背から広がり空中を高速で飛び回る事で回避している。






「賢いけどまだ彼に飛び方教えてないからね、見えなくなっちゃうなぁ。ごめんなさい、」




ローディの上空から羽を挟み込むように棒が出現する


突然翼に障害物が出たせいで止まってしまった。




「墜ちて」

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