第2話 これ勝ち確だわ
海人は素っ裸で一人、宇宙を漂っていた。身体が半透明だ。
なるほど、俺は死んだのか。そして、地球も。
巨大な隕石がめり込んで燃え盛っている地球を、腕組みしながら眺める。すると、白い髭を生やして白い長髪で白い着物を着て、頭に変な冠をかぶっているおじいさんが現れた。
「いかーーん!やりすぎた!ちょっとだけ間引くつもりじゃったのに全滅じゃ!」
おじいさんは海人に気付くことなく謎の呪文を唱え始めた。
「ワレハカミナリマチガッテウッカリチキュウヲブッコワシタヤリナオシタイーー!ハァーーッ!」
すると、隕石がキラキラ輝きながら消滅し、地球が少しずつ元に戻り始めた。
「ふう、これで隕石衝突直前の状態を再現できるわい。一安心じゃ」
「ちょっと待った!」
ん?とおじいさんが海人に気づいた。
「じいさん、神だろ!?」
「そうじゃが、そなたは?」
「俺はあんたの失敗で死んだ人間だ!」
「な、なんと!それはスマンかった!しかしこんなところに魂があっては再創生に間に合わん!そなたは死ぬ!スマン!」
「ええっ!?いや納得できるか!俺を高スペックイケメンに生まれ変わらせろ!」
おじいさんはふむ、と考え込んだ。
「別の人間として生まれ変わらせる、か。よかろう。特別になりたい姿を思い浮かべればその姿に成長できる豪華特典付きじゃ。それっ!」
「え、ちょ!早っ、じゃ、じゃあ、ディー◯フジオカとかキム◯クとか玉◯宏とか、なんかそんな感じのイケメン似で182cmソフトマッチョスポーツ万能実家金持ち高学歴に俺はなる!」
「あいわかった」
「あと巨根!巨根も!」
パァァッとまばゆい光が海人を包むと、徐々に視界が狭くなり、眠るように意識を失った。
「おめでとうございます!かわいい男の子です!」
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
「ああっ、私の海人……!」
海人が意識を取り戻したとき、そこは病院だった。とにかく大声で泣きたい気分で、なかなか目が開かない。どうやら「海人」という同じ名前の赤ん坊として生まれ変わったらしい。少しだけ目を開けると、化粧っけがないのにものすごい美人の母らしき人と、ものすごいイケメンの父らしき人と、医師や看護婦が周りにいる。
こんだけ親が超美形なら、息子の俺の顔も勝ち確だろ。神様、まじグッジョブ。
海人はそれを確認すると、再び眠るように意識を失った。
転生してイケメンになったので勘違いブスを成敗する なゆた @nayunsho
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