第34話 ネイトa.k.aスミスの嫁探し②
「勇気を持って誘っても誰も了承してくれないんですが!」
その後も思い付く限りの女性を誘い。
大型連敗記録を更新し続けたスミスは。
藁にもすがる思いでアイトに相談を持ちかけた。
確実に面白がって悪ふざけをする。
絶対に相談をしてはいけない相手に。
初めは大型連敗中の気分を変える為に訪れたラブホテルの帰り際に。
金髪碧眼の洋モノでスッキリした帰り際に。
アジア女性とは喘ぎの種類が異なるのでちょっと気になって集中出来ない洋モノでスッキリした帰り際に。
喘ぎの隙間時間にシーッって歯と歯の間から息を吸い込みがちな洋モノでスッキリした帰り際に。
エマに軽く相談したのがきっかけなのだが。
エマの事も一瞬頭に浮かんだが、流石に色々と恐いので絶対に無いだろうと早々に選択肢から消している。
消しておかないと消されそう(物理)だし。
エマは色恋については良く分からないので、だったらアイトに相談したらどうかと最悪のトスを上げて。
スミスが最悪の判断をしてしまったまでの話しである。
とは言えアイトは確実に燥ぐし悪ノリするしふざけまくるが。
今のスミスにとっては決して悪い相談相手ではない。
何故ならマスタールームから客室を覗き、カップルや夫婦の仲が深まるきっかけ作りをした実績がアイトにはあるのだから。
そんなアイデアマンアイトだけあって解決策を導くのは一瞬だった。
『それなら公募したら良いんじゃね?Cランク冒険者と付き合いたい女の子って条件で募集を掛けて集まった中から選んだ子とサービス券使ってイチャコラすれば良いじゃん』
公募。
一瞬にして自分には思い付かなかった答えを導き出したアイトにスミスは尊敬の念すら覚えた。
確かにこちらから誘うのは断られて魔物からも受けた事の無い深手を負う事になるが。
自分と付き合いたいと思っている者を集めて選ぶのであれば断られるリスクが無い。
それに一般的に冒険者は稼ぎが少ないと思われがちだが、それはEランクまでだ。
Dランクになれば平均的な水準以上には稼げるし、Cランクともなれば高給取りとして一般にも十二分に認知されている。
つまりCランク冒険者であり、街一番の冒険者パーティー蒼剣の誓いのリーダーを務めるスミスが恋人を募集すれば、相当な数の応募があるのは必然であろう。
問題はどうやってその企画を周知するかだが。
『面白そうだから推薦者の中から抽選で3名にランクE客室2時間利用無料サービス券を発行してあげよう。滅茶苦茶面白そうだから』
またもや斬新なアイデアを披露して問題を解決したアイト。
その後、ラブホテルのフロントにはスミスの恋人募集木札が掲げられ。
スミス自身も冒険者ギルドで企画の説明をして二日後の開催に向けて準備を進めていったのであった。
「と言う訳で面白い企画が始まったぞ!」
スミスとの電話を終えて。
マスタールームにいるアイトは上機嫌でヒショに話掛けた。
ヒショもテレビモニターから聞こえる音声で聞いていたので内容は把握している。
「やっぱりあれだよな。婚活企画って言えば大掛かりな野外フィールドだけど、一対多だから大どんでん返しも無いし結婚式場のパーティー会場みたいなのを作ってそこを無料で提供してあげよう。飲食は有料で。そこまでやっちゃうと飲食目当てで来る子が増えてスミス君のお相手探しって主旨がぼやけるからな。広々とした清潔感のある大広間に色々と趣向を凝らして、、、」
アイトが勢いだけで作ったのはこんな部屋だ。
50畳ほどある白を貴重とした壁と天井に、床には白木の使った清潔感溢れる部屋は。
天井から豪奢なクリスタルガラスのシャンデリアが下げられていて煌びやかな印象を持たせる。
一面がガラス張りになった窓からは疑似太陽の光が差し込み。
外の景色は大きなプールと南国を思わせる椰子の木。
夜になれば怪しげなピンクの照明が焚かれ。
ナイトプールも楽しめる多目的な部屋となっている。
今回限りでは勿体ないのでランクSの部屋として寝室もしっかりと増設して。
乱〇パーティーが開催されても問題が無い様にキングサイズベッドを縦2横3で繋げた巨大ベッドを設置して。
王様プレイ用の王座風椅子と台座まで用意して。
コスプレ衣装として王冠とマントも置いて。
尋常じゃなく豪華な客室がここに完成したのであった。
いや、窓から見下ろす夜景も含めた全てが客室扱いの部屋には手間暇の面では負けるのだが。
パッと見どちらが豪華かと言われたら、こちらの方が豪華と答えるだろう。
広過ぎるので2名での利用だと確実に持て余すであろうが。
「と言う訳で完成したお部屋がこちら!どうだねエマよ!中々の力作だろう!」
完成後。
ヒショから何度もアイトを称賛する声が聞かれ、気を良くしたアイトは勤務を終えたエマを新客室へと呼び出した。
エマは面倒臭そうに部屋を見て回り。
「やりすぎじゃないですか?」
「股おれナニかヤッちゃいました?」
前世で聞いた有名な台詞をドイヒーな方向にパロって。
ラブホテルの中では微妙に常識人枠のエマに軽く叱られたりしながら従業員を集めて。
早速ナイトプールを開催したのであった。
因みにエマはワンポが乗っても余裕で寝られるベッドとしてシックスパックキングベッドを甚く気に入って自室のベッドを取り替えさせ。
アイトはエマに向こう三年許されたのであった。
「と言う訳で当日までシークレットだけどスミス君の一対多婚活パーティーはランクSのパーティー向け客室で執り行う事になったから」
『何がと言う訳なんですか?』
翌朝。
アイトは一人遊びをしに来たスミスに内線で。
と言う訳でランクSの部屋を使う事を告げた。
スミスは何か昨日同じ様な流れあったな、デジャヴかな?と軽く首を傾げて聞き流しそうになったアイトの言葉を反芻した。
反芻して。
反芻して。
『えぇぇぇぇぇぇぇえええ!?』
まさか。
知らぬ間に恋人探しから婚活パーティーへと主旨が変更されていたがまさか。
滅茶苦茶に高くて気軽に一人遊びなんて出来ないランクSの客室をまさか。
自分の為に提供して貰えるとは思ってもみなかったスミスは。
フロントで盛大に驚愕の声を上げて。
『ありがとうございます!!!』
ラブホテル内の何処かにいるのであろうアイトに向けて深々と頭を下げた。
その様子は勿論マスタールームのテレビモニターでアイトに確認されている。
「よきかなよきかな。かんらかんら。当日の!君の活躍に!期待している!」
そこまで言ってアイトは内線をガチャ切りした。
この日。
後にぼちぼち世界にうっすーーーーーーく名を遺す冒険者パーティー蒼剣の誓いのリーダー、スミスの中で。
崇めたってなんにも良い事の無い新たなる神が誕生したのであった。
そいつは崇めても良い事ないよ?絶対に。
「次回、スミスの嫁の座争奪戦!開幕だぁぁぁあい!」
え?急に何?急に何言ってるの?
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