閑話 いいお尻の日にはお尻参りを行うのが通例である
これはまだラブホテルが開店を迎える前の話。
客室造りが急ピッチで進められている中で発生した酒盛り中。
昨晩から始まってもう昼になろうかと言う時間。
思い出した様に日めくりカレンダーを捲りに行ったアイトが重大な事実に気付く。
「はっ!今日はいいお尻の日か!」
11月04日。
毎日一瞬だけエマに外の様子を見て貰い、何となくで日時を設定しているので正確ではないだろう。
しかし。
今日はダンジョンにいいお尻の日が到来した。
その事実は、代えがたい事実なのである。
「如何なさいましたか?マスター」
酒瓶4本を両手に持ちながら歩みよって来たヒショの問い掛けに。
「今日はいいお尻の日だったんだよ!すっかり忘れていた!」
アイトが返事を返すと。
「そうでしたか。では早速どうぞ」
ヒショは背中を向けて腰を曲げ。
アイトに向けて尻を突き出した。
「では失礼して」
アイトは丁寧に45度腰を折って礼をしてから。
ペンペン。
ヒショの女性的で丸みのある豊かな尻を優しいタッチで二度叩いた。
柔らかく手首のスナップを利かせているので音はしっかりと出ているものの尻への衝撃は小さい。
尻を叩かれたヒショは正面に向き直ってアイトと向かい合い。
「ありがとうございました」
45度腰を折ってアイトに礼を言った。
すると厨房でつまみを作っていたヤマオカがマスタールームにやって来たかと思うとアイトに歩みよって丁寧に頭を下げた。
ヤマオカはアイトに背を向けると腰を折って尻を突き出す。
ペンペン。
アイトがヤマオカの尻を叩くと。
ヤマオカは丁寧に礼をして調理場へと帰って行った。
「さっきから何やってるんですか?」
酒盛りは現在オーガズによるアクロバット胴上げ大会が開催されているが。
その様子を外から見ていたエマが謎のイベントを開催しているアイト達に質問をする。
「今日はいいお尻の日だったからな」
アイトは理由を説明した。
「で?」
全く芯を食っていない説明に、雑に質問を重ねたエマ。
“え?今の説明で理解出来なかった?”とアイトはそんな表情を浮かべているが。
そもそも【いいお尻の日】が何たるかを知らないのだから理解出来る筈が無いだろう。
「今日は11月04日ですからね」
理解の及んでいないエマにヒショが追加の説明をして。
「で?」
やや芯に近づいたものの全然ファウルチップなヒショの説明に。
エマは雑に質問を重ねた。
せめて三塁線ボテボテの当たりがサードベースを叩いてヒットになるぐらいは芯の近くに当てて欲しい。
そうでなければアイトの行動は理解しがたいのだ。
「ああ、そうか。ここ何年も酒盛りスルーしていたからエマは知らないのか」
「なるほど。エマはまだ新参ですもんね」
どうやら理解が及んだらしく、漸く芯を食った説明が聞けそうだと安心したエマ。
そしてアイトが詳しい説明をしてくれた。
「11月04日。つまり1104いいお尻の日は大願成就、無病息災、厄除開運、家内安全なんかを願って尻叩キングに尻を叩いて貰うと願いが叶うって言われてるんだよ」
「は?何でですか?」
バックスクリーンの電光掲示板を破壊する程に芯を食ったにも関わらず何も理解出来なかったエマ。
何故いいお尻の日に尻を叩くと願いが叶うのか。
そもそも尻叩キングとは何だ。
「エマもやっとくか?」
「あ、結構です」
エマは情報を脳が処理するよりも早く断りの言葉を吐いて酒盛りに戻ったのであった。
その後、お尻参りの開催を知ったオーガズが順番に酒盛りから抜けて尻を叩かれ。
もっと出番が多くなりますようにと願って酒盛りの輪に戻って行った。
レイさんは実体が無いので叩けないし、そもそも興味が無いご様子。
「うぉん!」
そして最後に残ったのはダンジョンのアイドル犬ワンポである。
ワンポはアイトに歩み寄るとゴロンと寝転がって腹を見せ。
「よーしよし!お前は可愛いな!よーしよしよし!」
アイトに尻を撫でくり回されたのであった。
普段は撫でられない所を撫でられて楽し気なワンポ。
普段は撫でない所を撫でて楽し気なアイト。
羨ましそうに見ているその他大勢。
その後、全員でワンポの尻が撫でくり回され。
いいお尻の日には尻叩キングに尻を叩いて貰って尻犬アイドルの尻を撫でると願いが叶うと改正されたのであった。
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今日はいいお尻の日ですね。皆様どうお過ごしでしょうか?
私は早朝に気付いたので勢いに任せてこの話を扱き上げ、、、書き上げました。
異世界ラブホ初の季節ネタですが、楽しんで頂けたら幸いです。
それでは皆様、良きお尻ライフをお過ごし下さい。
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