第29話:天使の憂鬱。

せっかく付き合ってもいいって、凛のご両親の許しをもらったばかりなのに

またトラブル発生。

両親公認になったことが嬉しかったのか、凛は親の前で


「結婚するから」


って言ってしまったらしい。

それを聞いた父親が反対した。


わけは、よくある話で、まだ歳が若すぎるという理由だ。

成人するまで結婚は許さんってわけだ。

お父さんにしてみれば、それがけじめって言うもんだろう。


でも結婚は反対されたが、なぜか付き合うことは反対はされなかった。

ん~お父さんの結婚反対も勢いってやつかな。

まあ、全面撤回にならなかっただけましか。


「付き合うのはいいけど、結婚は、まだ早いって」


「しかたないね、まだ若いって言う、お父さんの気持ちも分からないでもないし」


「え〜凛は、やだ」


「そりゃ、僕だって」


「でもお父さんとお母さんの反対を押し切って結婚するより」

「祝福してもらったほうがいいだろ?」


「そうだけど・・・」


「とりあえずこのまま、付き合っていくしかないかな」

「そのうち、正式に凛をもらいに行くから」


もうこれからは、ふたりだけの問題じゃなくなって来てるんだ。

凛と僕の後ろにはお互いの家族ってものがくっついて来るんだよな。

結婚とかってことになったら、年に数度しか会わない親戚のおばちゃん

とかが出てきて、かき回したりするんだろうな。

めんどくさ~。


振り返ってみると、いろんな障害を乗り越えて来たっけ。


そしてここに来て、まただ・・・次から次へと・・・。


凛からいきなり「別れる」って、耳を疑うような言葉・・・・

うそだろ? 今更? 別れるって?

いったい何があったんだよ。


聞くところによると 凛のひとつ年上の、にーちゃんが交通刑務所に入る

かもしれないって話らしい。


なんとかパピヨンだか・・・なんとかバタフライだとかって暴走族の中に

凛の、に~ちゃんが入ってて、車で暴走を繰り返し、おまわりの再三の忠告

を受けても、それでもやめず暴走を繰り返した挙句、おまわりに、しょっぴかれた

ってことらしい。


彼女にしてみれば、寝耳に水な話だ。

に~ちゃんの友達に暴走族らしき人が凛の家に、ちょくちょく遊びに来てた

のは凛も知っていたらしい。


に~ちゃんの乗ってる車もシャコタンしてて、 音がうるさいって凛が以前、

言ってたことがあったな。

まあ、身内の逮捕だから聞いたときはショックだったろう。


それで、ちょっとパニクって僕のところに連絡してきたってわけ。

それが僕と「別れる」って言った理由らしい。


だけど、別れるって・・・ これって、僕らが別れるようなことかな。

でも凛は凛なりに僕たちの行く末のことを心配していた。

いきなり「別れる〜」とか言い出すんだから、もうびっくりだよ。

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