第29話 ライン見ずで後悔

 そして次の日...


気持ちを美華に全振りした状態で目を覚ました俺。

スマホを開くと、小春さんからラインが来ていた。


 小春さん"亮さんおはよ!昨日はありがとねっ!私酔ってて後半全く覚えてないんだけど、もし変な事言ってたら気にしないでねっ!"


昨日言われた事...

気にしないようとしても無理がある。

でも、昨日誘ってくれたのは、どこかで俺の事や美華の事を心配してくれたのだろう。

ああゆう風に、何ともない話でも聞いてくれる人がいると思うと、本当にありがたい事だ。

小春さんに再度感謝し、俺は会社に向かった。


 昨日に引き続き、仕事は地獄のままだったが、デートから2日後だということもあり、だいぶ気持ちは一般サラリーマンの気持ちに戻りつつあった。


 昼休憩後もそこまで疲れはなく、ただただ仕事をこなしていく俺。

すると、俺のスマホにラインの通知が。


 "恐らく小春さんだろう。さっきの返信の続きだろうな。また行こうねー!とかありがとうー!とか"

そう思い、俺は仕事が忙しかったのもあった為、ラインを開かずにいた。


 そして、夕方。

ようやく長くかかっていた作業もなんとか終わる。


 七瀬課長「亮さんお疲れ様ー!さっき書類チェックしたけど、間違いないし完璧だよ!ありがとね!」

やはり上司からそう言われると頑張ったかいがある。

俺が褒められて伸びるタイプだから。


 亮「いや〜!こちらこそっすよ!まぢで無事終わってよかったぁ!」

俺は立ち上がって大きく背伸びをし、コーヒーを作りに行こうとした。


 亮「あっ!七瀬さんも、コーヒー入ります?ついできますよ!」


 七瀬課長「ありがとー!お願いしてもいいかしら」

こうして俺達は二人でコーヒーを飲んだ。

キツイ仕事をやり切った後のコーヒーは本当に最高のご褒美。

再度椅子に座り、上司を目の前にしてだが、深く腰をかけた。


 亮「ふぁーっ!まぢで疲れたー!」


 七瀬課長「今までに見たことないくらいの凄い集中力だったもんね!スマホの通知にも目もくれないぐらいに!」

その言葉にふと思い出した俺。


 "そうだ!!ライン通知来てたんだ!"

コーヒーを片手に自分のデスクにあったスマホを取り開く。


まさかの小春さんからではなく美華からだったのだ。


すぐに内容を確認する俺。

 

 美華 "亮さん!おつかれー!このケーキ唯愛に作ったんだけど、亮さんも食べる?ついでにコーヒーもサービスするけどっ"

この内容と、美華が唯愛の為に作ったケーキを両手に持ち、笑顔で映っている写真が1枚。


 "この写真は待ち受けにしたいぐらいだ..."

と一瞬時が止まり、スマホに映る彼女の写真に見惚れていた俺。


 "いやいやっ!!見惚れている場合じゃない!めちゃくちゃ放置してるやないか!それにこの内容知らなかったから今コーヒー飲んでるじゃないか俺!"

そう思い、そのホットコーヒーを水のように一気飲みし、俺は足早に喫茶店に向かう準備をした。


 亮「ちょい!行かないといけないところがあるんで、お先に失礼しまーっす!」

そう言って課長の返事を聞く前に俺は会社を出た。

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