第22話 ワンピースの美華
亮 "おはよう!ライン送ったんだけど起きてなかったのか?"
美華 "完全に寝過ごしてた!今から準備して間に合わせるからっ!"
そお言ってそれから"わかった!"と返事を送るも既読にはならなかった。
"楽しみでなかなか寝れなかったんだろうなっ!"
よく寝れるというのは若い証拠。
俺なんか30代に入り初めてからか、休みの日でもパッと目が覚めるときが多々ある。
そして、時計を確認すると、まだ明け方だったり...だがそれからは寝れやしない。
そんな事を考えながらゆっくり時間を過ごしていると、九時前ぐらいに彼女からラインがくる。
美華 "準備間に合った〜!よし!もう大丈夫だよっ!"
亮 "おつかれさん!今から迎えに行くなー!"
そうラインで伝え、彼女の家まで車を走らせた。
少し前から、雰囲気を悪くしないように、車の音楽で流す曲を必死に探していた俺。
どうしてだろう。
自分の好きな曲をただただかけていればいいはずなのに...
やはり、ほんの少しだけ格好をつけようとする自分がそこにはいた。
決してそんな事など言わないが、「俺こんな曲知ってるんだぜ」という、男ならではのしょーもないプライドだ。
そんなの女性が全く気にしてない事など分かってるくせに、初デートの時なんかは特に見栄はってしまう。
"ん?あれ?どこかでこの言葉聞いた事あるな...小春さんと海の時か..."
そんな事はさておき、気づけば彼女の家の前まできていた。
大人感を出すため冷静でいよういようと、考えれば考える程、胸の鼓動が高なってしまう。
そして彼女にラインを入れた。
亮 "無事着いたよー!"
するとすぐに既読になり、すぐに返信が来る。
美華 "ありがとー!すぐいくねっ!"
ありがとうと自然に言ってきた彼女の気遣いに俺は、微笑ましくなっていた。
そして...
"コンコン"
助手席の窓を叩く音が聞こえる。
そっちの方向を見ると、窓越しからいつもの2倍。いやっ!何十倍も可愛い姿でこっちを見てニコッと微笑んでいる彼女と目が合った。
俺が彼女の事をさらに好きになってしまったのはここでもある。
美華「ちょっと~!何ニヤニヤしてんのよー!」
そお言いながら彼女が車のドアを開け助手席に乗ってきた。
肩の所にフリフリが付き、灰色のチェック柄で、ちょうど膝ぐらいまでのワンピースに中は白のTシャツ姿の彼女。
”めちゃめちゃ可愛いっ!天使だっ!”
そう思ったのと同時に声にもでた。
亮「いやっ!普通に可愛いなぁと思って!」
その瞬間彼女も下を向き照れだした。
美華「ちょ、ちょっと!やめてっそんな事言うの!ほらいくよっ!」
たまに見せるその姿に俺はまたさらに心のニヤけがたまらなくなってしまっていた。
”紳士な男、紳士な男...”
そう何度も何度も水族館に向かいながら念仏を唱えていた。
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