第20話 健気な子
小春さんからのラインの内容を見てビックリした俺は、すぐに彼女に電話を入れた。
小春さん「もしもし?」
亮「俺が美華とデートまじ?ちょい早くない?」
内容にビックリした俺は挨拶もなく彼女に話しかける。
小春さん「亮さん、おはよ~!返事早すぎっ!ビックリしたわよ~!」
彼女は俺がどんだけ焦っていても優しく対応してくれる。
面倒見のいい、大人の女性って感じだ。
亮「すまんすまん!やけど、急な内容過ぎてビックリしたわ!」
小春さん「急にだからこそ、何かいい気がしてねっ!やっぱり色々探るよりも、美華ちゃんとしっかり話した方がいいと思うの。だからアシストはしてあげるから、誘ってみたらどうかなと思ってね!」
確かに思う。
色々探っても探偵っぽくなるだけだし、彼女ももしかしたら迷惑なだけかもしれない。それに彼女は唯愛ちゃんの事が大好きだ。
回りくどくいくよりその方がチャンスはある。
小春さんの、いかにも単純そうな提案に見えて実はしっかりとした戦略であるこの内容に関心してしまった。
亮「ってか小春さん凄すぎ!うちの会社に来てほしいぐらいやわ!」
小春さん「え?そんな私なんかが亮さんが働いてる会社なんて、無理だよ~。でもそう言ってくれてありがと~。でも今は亮さんと美華ちゃんのサポート頑張りたいだけだから!」
本当にありがたい。
小春さんの優しさに背中を押され、俺は次の日仕事の休憩中に喫茶店に向かった。
美華「あっ!亮さんこんにちわー!今日もアイスコーヒー?」
亮「美華ちゃんこんにちわ!うん!よろしく!」
いつもの席に座り、一息ついた俺。
そして小春さんと目が合い、口パクで俺に伝えてきた。
"頑張ってねっ!”と
そして、美華が俺の所にアイスコーヒーを持ってきてそして隣に座った。
美華「はい!どうぞ~!午前中もお疲れ様っ!」
亮「ありがとう!あれ?今日唯愛ちゃんはいないの?」
美華「そおなの~。今日は唯愛、有給取っててお母さんとランチに行ってるんだって~!」
そう言われればそうだ。
七瀬課長も会社で、有給取っていたことに気づいた俺。
”唯愛ちゃんがいないって事は今がチャンスだ!”
そして俺は美華に声をかけた!
亮「美華ちゃんは有給取らないの?」
美華「う~ん!とってもする事ないしな~!」
亮「どっか行きたいと事かないの?」
美華「あると言えば色々行きたい所あるんだけど、なかなかね~」
すると後ろからカウンターにいる小春さんが彼女に言う。
小春さん「美華ちゃん!隣の県にある水族館行きたいっていってなかったっけ?」
美華「あっ!思い出した~!それそれ~!めっちゃ行きたいんだよね~!可愛いのたくさんいるらしくってさぁ~!」
”小春さん!ナイスアシスト!”
この絶妙なタイミングで俺は言った。
亮「水族館かぁ~いいね~!だったら今度休みとって一緒に行くか?」
自然な声かけが出来た俺。
だが、その言葉にビックリした彼女はしばらく何も言わずに黙ってしまった。
”ん?やっぱり嫌だったか?”
少し気になり彼女の再度声を掛けてみる。
亮「一緒に美華ちゃんと行きたいなぁと思ったんだけど、難しいかっ!」
下を向き黙っている彼女をチラッとだけ見て、嫌だったんだなと察した俺は、諦めモードに切り替えてしまった。
すると...奥から小春さんがこっちにやってきて優しく彼女の肩に手を添える。
小春さん「美華ちゃん、こう男の人に誘われる事に慣れてから、何言っていいかわからないだけだよねっ!」
その言葉を聞き、彼女の顔を見てみると...
急な誘いにビックリしたのと、それを理解してデートのお誘いだと気づき、顔を真っ赤にしている彼女の姿がそこにはあった。
美華「うん...」
微かな声でうなずいた彼女。
その姿は、愛らしく健気な、ただただ可愛い女の子だった。
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