第14話 思春期すぎんか?
この声を待っていた。
まさか来るはずのない彼女が、今目の前にいる。
薄々頭の片隅でこのような出来事が起こる事を若干期待していたのは黙っておこう。
美華「あれ~?亮さんもいるじゃん!」
彼女に俺の名前を呼ばれ、気づけば顔が赤くなってしまった俺。
するとその様子を見た小春さんが、追い打ちをかけてきた。
小春さん「そおなのよ~!亮さん、美華ちゃんがいると思って沢山あった仕事、一生懸命終わらせてきたみたいだよ~!」
亮「.........」
全身までもが熱くなる。
美華「え?そおだったの?亮さんひょっとして私の事?」
亮「.........」
全身が産まれて初めて沸騰した。
亮「いいいや...まぁ...それより忘れ物は大丈夫なの?」
なぜかこんなにも動揺してしまっている俺。
今までどちらかと言えば、結構ストレートに言えてたはずだ。
うまく交わす事も、上手に冗談ぽく言う事も。
”ダサダサじゃねーか俺”
話を紛らわしつつ思春期の頃に戻ってしまったかのようになっていた俺。
そして彼女が奥にあった忘れ物を手に取り、俺の隣に座ってきた。
美華「忘れ物OKです!最近よく忘れ物しちゃうんだよねっ!」
亮「大丈夫か?喫茶店の仕事忙しそうだもんな」
美華「そこはうまくやってるんだけどね~。唯愛がよく忘れ物するから、唯愛の荷物の事ばっか考えてたら、つい自分の物忘れて帰っちゃって!」
一瞬だけど、この時小春さんと俺は目が合った。
余り隠そうとしていない事が分かった俺。それだけでも、こっちとしてはありがたい。
でも何をどう聞き出していいのか分からずにいた俺。
すると、小春さんが絶妙ないい質問をしてくれた。
小春さん「今日は仕事終わって唯愛ちゃんとはもう解散したの?」
美華「ううん!まだ解散してないよっ!というか、今唯愛は私の実家にいるの!これからみんなでご飯食べよっかって思ってたとこなんだけど、忘れ物思い出しちゃってさぁ。」
少しずつ熱も冷めはじめ、うんうん。とうなずきながら自然と相槌をうっていた俺。
だがこの後、美華が言った言葉で、全ての予定が変わる事になる。
美華「あっ!もしよかったら、小春さんと亮さんも一緒にうちに来てご飯食べますか?」
小春さん「え?いいの?私は大丈夫だけど、亮さんは?」
亮「まぢすか?いいんすか?ありがとうございまーす!」
ちょっとノリよく責めてみた俺。
そんな感じも普通に受け止められ、俺たち三人は、美華の実家に行くことになった。
”ほんとに俺っていつからこんな童貞キャラみたいになってしまっていたのか?”
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