第10話 俺分かりやすい?

 頭の整理がつかない俺に、美華は気を使っていたのだろう。


普段、そういう所を見せないが、こうゆうときにはしっかりと俺の様子を見て優しくしてくれる。


 "うん!間違いない!これ絶対俺の事好きだ!"

普通ならそんな事、あり得ないだろうと分かっていた俺。

だが、結婚間近とまできていた彼女と別れ、ましてや、”海がこんな可愛い子と二人も?”となり俺の頭までもおかしくなるのも分かってほしい。


 亮「なぁ。美華ちゃん...」

わけもわからず、いきなり俺はなぜか彼女に告白しようとした。

すると...。


 ガチャッ!


入口の扉が開く音が聴こえ一旦話すのをやめる俺。

そして振り返るとそこには、小春さんがいたのだ。


 小春さん「亮さん。話は海さんから聞いてたと思いますが...」


すると横にいた美華が俺の肩をポンッと叩いてきた。


 美華「小春さんとしっかり話しなよっ!」

そう言って俺のよくわからない突然の告白は風のように消え去り、彼女は店の中へ戻っていった。


 小春さん「色々ご迷惑をおかけしました。」

と俺達の会話が始まる。


 小春さん「亮さん。色々な事で混乱されてると思いますが、私は別れてから、海さんとは会っていないですからね」


 亮「そおなんですか。でも...唯愛ちゃんや美華ちゃんとは知り合いだったんですね」


 小春さん「はい。昔からというか、たまたま私がここに訪れた時に、二人が働いてました。初めは唯愛ちゃんが海さんと繋がってるのも知らなかったんです。でもある時、3人でご飯を食べようってなったとき、遠くから海さんが男の人に連れ去られそうになってる唯愛ちゃんを助けたのを見てしまって、少し頭の整理がつかず、その後から海外の転勤を希望して、しばらく日本には帰ってきていませんでした」


 亮「...家族とは上手くいってるんですか?」


 小春さん「...主人とは別れました。今は子供二人と三人で暮らしてます」


 亮「そおだったんですね...」


...本当に思う。

やはりこのくらいの歳になれば人生何が幸せか分からなくなる。結婚するのが幸せなのか?子供ができたら幸せなのか?離婚したら幸せじゃないのか?

難しいものだ。


 小春さん「でももう私は大丈夫です!きちんと頭の整理もつきましたし、唯愛ちゃんと美華ちゃん、本当に二人ともいい子ですから、心の底から私が支えてあげたい。一緒に頑張りたいっ。と思ったんですよ。」


 亮「たしかに...あの二人は本当に可愛いですからね...」

俺の頬が少しだけ火照った事を彼女は見逃していなかった。


 小春さん「あーっ!亮さん。美華ちゃんの事好きでしょ?」

すぐにバレてしまい動揺を隠し切れない俺。


 亮「ち違いますよ!ただ可愛いなぁと思ってるだけなので...」


 小春さん「でも、亮さんは本当にいい人だし、素敵な人だし、美華ちゃんの事支えて欲しいから、きちんと彼女の事教えます」



そして彼女は俺に彼女の本当の事を教えてくれた。



"実は美華ちゃん、唯愛ちゃんの事が好きなんです。友達としてではなく、恋愛対象として..."

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