第8話 俺の事好き?
そして月日がたち、俺はあの日からちょくちょく仕事の休憩中や打ち合わせに、あの喫茶店を使っていた。
七瀬課長の娘でもあり、"海"の彼女でもある、唯愛ちゃん。
そして、あまり話してもいないけれど、あの日、急に友達感覚で話してくれた、彼女のおかげで。
美華「あっ!亮さーん!こんにちわー!今日もアイスコーヒーでいいの?」
亮「よっ!うん。飛び切り冷たいアイスコーヒーでっ!」
美華「そしたら、作ったあと冷凍庫に1時間ぐらい入れとくから、それからでもいいかなぁ?」
亮「いやいや!休憩終わっちゃうからっ!」
美華「それでも取りに来てくれるのが亮さんでしょ?」
このように、なぜか彼女は俺に対してだけ、Sだった。
まぁこの感じも嫌なわけではなかったが。
すると、奥から唯愛ちゃんが俺たちの様子を見てやってくる。
唯愛「亮さん。こんにちわ!」
彼女も少しずつだが、自然な笑顔が出せるようになってきていた。
彼の事についてあの日から聞いてくる事はなかったが、彼女を見ていればわかる。必死に受け入れようとしている姿が。
亮「唯愛ちゃん、こんにちわ。今日もあのケーキある?」
唯愛「はい!ありますよ。まだ練習中ですけど、いつもより完成度は高いです!食べてくれますか?」
そう。彼女はケーキ作りの練習をしていた。
話を聞くところによると、二人が大学を卒業したらこの喫茶店のオーナーになるとの事。美華も一緒に。
ここの喫茶店のオーナーがもう高齢で、料理を作るのも大変だとの事。
"海"から聞いていたが、唯愛ちゃんは本当に料理が上手い。美華も彼女に教えてもらってるからか、元々のセンスからなのか、飲み込みが早く、凄く上手くなっている。
だから今までオーナーが出していたメニューはほぼ全部作れるようになっていたが、ケーキだけは難しいとの事。
だから二人を応援してあげたかったのだ。
亮「うん!食べる食べる!前作ってくれたのも美味しかったしさ~!」
するとその俺たち二人の様子を見ていた、美華がこう言う。
美華「亮さん、唯愛にだけ優しすぎ!絶対コーヒー凍らしてくるんだから!」
そお言ってカウンターの奥に行った。
唯愛「あっすみません!気にしないでくださいねっ!」
彼女もその言葉を残し、美華の後を追った。
なんなのだろう、この感覚。
別に彼女と付き合ってるわけでもないのに、ヤキモチを妬かれて少し優越感に浸ってしまう俺がいる。
だって何度も言わしてもらうが...世の男性方。
彼女が町を歩いていたら、恐らく全員目で追ってしまいます。
間違いなく振り返ります。
見た目は当然の事可愛いし綺麗。
なのに、自分に自信があって調子に乗ってるわけでもなく、なんだろう...この完璧な顔立ちに、可愛さというか、守ってあげたくなるという、若干の隙があるような、そこの際どい絶妙さ。
そんな彼女にヤキモチを妬かれてる俺。
”調子に乗るだろっ!”
そう思い、俺は何かと用事をつけてはこの喫茶店に足を運ばせて彼女のヤキモチに浸っていたが、このヤキモチがとんでもない勘違いであったと気づいたのは、あの人が来てからの事だった。
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