第7話  彼の導き?

 カランカランッ!


七瀬課長は着いたと思いきやすぐに扉を開けた。


 ”待てっ!あれ以来行ってなかったから、変に緊張するな。なんでこんなに心臓のバクバクが止まらないんだろう。...でももう覚えてないかもしれないか”

そう思いながら、七瀬課長の後に着いていく俺。


すると奥にいた、茶髪の女の子。

そう、この子が海の彼女。「七瀬唯愛」だったのだ。


海が亡くなる直前まで思っていた彼女の事を伝え、静かにその彼の言葉を真剣に受け止める彼女。

そして俺は彼から預かっていた婚約指輪を渡したのだ。


その場で泣き崩れた彼女。

その姿を見て支えようとするも、どうする事もできずになり悔しくなる俺。

しばらく親子でゆっくり話をしてもらいたいと思い、タバコを吸いに俺は外へ出た。


 俺はタバコを吸いながら、”海”のいる空を見上げ彼に伝える。


 「海...。無事にお前が世界で一番大好きな唯愛ちゃんに指輪渡したからな。そして、お前の事を心から愛してくれる人に出会えてよかったな...」

そお言いながら、ようやくずっと堪えてた涙が溢れ落ちる俺。


 すると...


 「...あなた、海さんの友達だったんだね」

どこかからか、可憐な声に紛れながらも悲しさが滲み出てくるその声が聞こえた。


そう。


一瞬しか話していないけど、俺はその声をあの日からしっかりと頭にインプットしている...。


後ろを振り向くと、そこには、あの金髪の女の子、「美華」がこっちを見て涙を流していた。

あの久しぶりに海と飲んだ日。

電車の中から自動販売機の所で泣いている彼女を俺は遠くから見ていた。


あの時、手を差し伸べてやりたかったが、そこまではできずにいた俺。


今こうして目の前で泣いてるのを見ると、遠くから見るより愛らしく、そして抱きしめてやりたかった。

だが彼氏でもないし、彼女とは前にここで会ったとはいえほぼ初対面。


思わず声をかけた。


 亮「...大丈夫か?」


 美華「そっちこそ。私だっておんなじセリフ...」


きちんと会話をしたのはこれが初めてだったかもしれない。


そう俺は、海のおかげで、彼女と運命を共にすることになる。

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