第5話 ゴール目前?
それからというもの時は過ぎ、俺は新しい転勤先で、以前とは打って変わって仕事にやりがいを持っていた。
やはり新しい環境になると、気持ちが全然違う。
女性上司である、「七瀬課長」と共に毎日の仕事に励んでいた。
七瀬課長「亮さん!新しい取引先誰か見つけた?」
亮「はい!僕の友達でよかったら、ちょうどいいやつがいます!」
七瀬課長「友達だけど大丈夫なの?ちゃんと仕事の面から見てみた?」
亮「はい!アイツは仕事できますし、ちゃんと人と向き合ういいやつです。俺が保証します!」
そう。
あの日から月に数回、彼とはよく飲みに行っていた。
彼も立ち上がり、少し気になる人がいると言っていた人とも本気で好きになり、そして付きあうことになり、全ての事において両立していきながら前に進んでいた。
ちょうど仕事の話を聞くと、俺の会社の取引先になれそうだというのもあったし、堂々と彼を上司に紹介することができた。
そして、しばらくしたある日、俺は海に呼び出された。
亮「おー!海。今日はどうした?」
すると彼が右のポケットから小さな白い箱を出してきた。
亮「これはまさか指輪か?...海...俺と結婚しろと?」
海「んなわけないだろっ!唯愛のだよっ!」
そお言って冗談を受け止められるぐらいになってきた海。
亮「んで?これをどうしろって?」
海「来月、俺と彼女が付き合ってから3年がたつんだ。だからそのお祝いでご飯食べに行くんだけど、その時に渡そうと思ってな」
彼がその指輪を見ながら嬉しそうにしている姿を見て俺は心から、こう思った。
”海...よかったな!やっとだな...”
亮「でも全然預かっとくのは大丈夫だけど何で自分で持っとかないんだ?」
海「俺さぁ、まだ会社のやつらにパワハラを受けているんよな。しかもそれが仕事場だけじゃなくて、最近プライベートまで関わろうとしてきてるからさ...だからこれだけは守りたくてな。でももし見つかったら何されるかわからない。この指輪、彼女と前一緒に買い物に行ったときに、たまたま見たんだ。凄く彼女も可愛いっていってたからさっ!しかもこれ残り一つしかないんだって。だからどうしてもこれじゃないと駄目なんだ...」
彼の彼女に対する思いが、本気だとという事がより一層わかり、背中を押したい気持ちになった俺。
亮「そっかそっか。俺がその日まで持っとくよ!お前、後ひといきだな!頑張れよっ!」
そお言って彼から婚約指輪をさずかる事にした。
海「おう!これもホントお前のおかげだよ。まじでありがとなっ!」
祝福を今この場でしてあげたかったが、目の前に見えるゴールに全力疾走している彼の姿を見てると、きちんとゴールしてからにしようと思った俺。
そう...。
そう思っていた...。
はずだったのに...。
海は交通事故でなくなった。
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