第9話 『キス』

付き合った。あの上原悠馬と。

その事実に、俺は実感が湧かなかった。

だって友達から始まった関係だったから。



今思えば凄く意味不明な経緯。急に、学校の人気者に告白されるなんて。しかも、接点がなかったし。

だけど、それでも俺は……

ドキドキしっぱなしだった。

上原悠馬という人間と過ごす時間はとても楽しかったから。



「稔……」



今日もまたキスをする。上原悠馬とキスするのは嫌じゃないし、むしろもっとしたいくらい。だって、悠馬が好きだから。



「稔、好きだよ」



「俺もだよ」



そして俺と悠馬は、またキスをする。何度も何度も。

互いに求め合うようにして……。

俺は上原悠馬のことが好きだ。誰よりも愛してるし、何よりも大切な存在だと思っている。



「稔……もっと撫でで……」



「わかった」



そして……俺が頭を撫でると、悠馬はとても嬉しそうな顔をする。それがとても可愛らしい。こんな姿、誰にも見せたくない。俺だけが知っていればいいんだ。

そう考えつつ、俺は悠馬の頭を撫で続けた。



「足りない。もっと……。もっと……」



「はいはい」



俺はさらに手を動かす。すると悠馬は更に幸せそうな表情で俺に身を委ねてくれる。そんな姿に、俺は胸を高鳴らせた。俺は上原悠馬のことが好きだ。誰よりも愛しているし、何よりも大切な存在だと胸を張って言える。



だから、俺は悠馬のことを守りたい。例えどんな脅威が迫ってこようとも、全力で守っていく。この笑顔を、他の奴に奪われたくないから。



「かわいいな」



「えへへ」



悠馬は照れたように笑う。その仕草一つ一つが愛おしくて堪らない。

悠馬の全てが俺のものだと思うと、思わず笑みが溢れてしまう。こんな感情を抱くのは初めてだ。今までは、恋愛なんて興味がなかった。



なのに、今はこんなにも悠馬に夢中になっている自分がいる。

これはきっと、運命なんだと思う。俺と悠馬の出会いも、こうして一緒にいることも全部……神様が与えてくれた奇跡なんだと思う。だから俺はこの奇跡を大切にしたい。



「好きだよ。悠馬」



「俺もだよ。稔」



そして俺たちは、またキスをする。互いの想いを確かめ合うように……。

俺は上原悠馬のことが好きだ。誰よりも愛しているし、何よりも大切な存在だと胸を張って言える。



例え、男同士でいろいろ言われたとしてもだ。でも、俺は気にしない。周りが何と言おうと関係ない。だって、俺と悠馬は愛し合っているから。

だから……何があっても絶対に離れないし、離さない。

たとえ相手が神様であろうともだ。



「悠馬……」



二人っきりの部屋の中で付き合いたてのカップルみたいな雰囲気。いや、実際付き合いたてのカップルなんだけどさ。

でも、なんだか今までとは違う感じがして緊張してしまう。悠馬のことが大好きなはずなのに……。

やっぱり恋愛初心者の俺には難しいみたいだ。

そんなことを考えていると、不意に悠馬が口を開いた。



「俺たち、ずっと一緒だよな?」



「もちろんだよ。悠馬と離れるなんて考えられないよ」



そう言いながら俺たちは笑い合う。そして、どちらからともなくまたキスをした。

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