宝刀(二)
さて、本題のファルエール・ヴェルヴェルヴァ
しかし、小サレの残した引き継ぎ書によると、手がかりがまったくないわけでもなかった。
まず、野戦では無類の強さを見せる金蛇軍であったが、攻城戦は不得意なようだった。であるから、負けないいくさを心がければ、南イルコアを失うことはないように思われた。
先の攻城戦のとき、チノー[・アエルツ]がいる際は、まともな攻め方をして来たが、何らかの理由で彼が陣を離れているときの攻めぶりは、敵ながら戦い方を教えてやりたいほど、攻め一辺倒の
そこから、学者[ズニエラ・ルモサ]やラカルジ・ラジーネが集めた情報を加味して考えられるのは、金蛇軍で用兵家と呼べるのはチノーだけであり、ヴェルヴェルヴァやダウロン三兄弟は、武勇に優れた
金蛇軍が軍として活動するには、チノーという頭脳が不可欠であった。だが、金蛇軍が三国に鳴り響くほどの軍功を上げるのには、チノーの用兵の能力だけではむりで、ヴェルヴェルヴァとダウロン三兄弟の働きが必要であった。
チノーとヴェルヴェルヴァらを離間させることができれば、金蛇軍は怖い存在ではないということであり、ヴェルヴェルヴァを討つことも可能となる。
しかし、ラジーネの話によると、異国人であるヴェルヴェルヴァやダウロン三兄弟を差別することなく、他の者と変わらず接し、実力主義で引き立ててくれたチノーに対して、彼らは恩義を感じており、離間策は使えそうになかった。ラジーネからも、「それはいくら金を
結局のところ、ヴェルヴェルヴァ退治を任されたときの鉄仮面には、彼を殺す有効な手立て、必殺の武器がなく、運に任せて真正面から戦い、彼を討つしかなかった。そのため、鉄仮面は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます