第四十二話 〜妖怪登録〜
真琴から褒められていい気分だ。
『そうだな。我らも未来のそんな一面を高く評価している。』
すると、急に空亡から声が上がった。さっきまでは沈黙を保っていたが、そろそろ限界だったのだろうか?
―そうですね。わらわも同感です。―
ソラからも声が上がった。ソラは他の妖怪と関わり合いたいと思っていたから、少し食い気味に話に混ざってきた。早く色々話をしたいのがわかる。
「おお!未来のパートナー達!?」
急な登場だったけど、いい機会だから紹介しておこう。
「そうだよ!自慢の友達!!」
空亡もソラも照れたように沈黙した。
「いいねいいね!仲良さそう!…おっと、とりあえず、その自慢の友達達を登録しちゃおう!まとりあず、わかる範囲で大丈夫だから!」
そう言うと、また自分の仕事に入っていった。
「はーい。入力しちゃうねー!」
真琴もに言われた通り、パートナーである妖怪の登録を行う画面ようだ。
画面には
―妖怪登録『名前等識別できるもの』―
―妖怪の種類―
―いつ頃の生まれか―
―能力(任意)―
―契約の有無―
そんな感じで、入力欄がある。
そういえば、2人のプロフィール的な情報ってほとんど知らないな。この際だから、入力しながら教えてもらおうかな。
―空亡そらなき―
―太陽の化身―
―生まれは定かではない―
―能力は本質の変化―
―契約は無し―
―ソラ―
―天狐―
―妖狐として生まれ、長い年月を経て神格化し天狐へ―
―天候を操る―
―契約は無し―
2人から情報を聞きながら入力をしていると、色々知らなかったことも出てきた。自分たちについてあんまり知らなかったんだなと思った。それからも長い付き合いになると思うから、お互いを知っていてもいいような気がした。また、話をする機会を設ける必要があるかな?
「知らないこともあるねー。」
『そうだな。我も未来について知らないことも多いだろう。』
―これから知っていけばいいではありませんか。―
「そうだね!」
そんなやりとりを横目で見ていた真琴が微笑ましそうに話しかけてきた。
「楽しそうだねー!仲良しそうでいいね!そういう関係が理想だよねー!」
「そういえば、真琴は誰かパートナーいたりしたの?」
ただ気になっただけで、なんでも聞きやすい子だから聞いてみた。しかし、
「…ん?あ、ああ!いたいた!でも、あんまり仲良くなかったかなー!まあ、この話はまた今度ね!今は登録の続きをしちゃおっか!!」
真琴はあんまり話したくないのか、話題を変えるように登録の話をすることにした。誰しも聞かれたくないことはあるだろう。特に仲良くなかったと言うくらいだから、あんまりいい思い出もないのかもしれない。少し無神経すぎたかな。とりあえず、今まで通りを貫きたいみたいだし、深掘りはしないでおこう。
「ああ、ごめんね!ありがとう!入力はこれでいいのかな?」
「うん!オッケーだよ!あとはこっちで登録申請とか諸々手続きがあるけど、未来にやってもらうところはこれで終わりだよ!次は導入教育だね!」
登録とか色々事務的な要素が面倒そうだけど、やってもらえるのは助かる!
「そうそう!導入教育!なんか初めての経験だから楽しみだなー!」
名前だけ聞くと配属された時に教えてくれることって感じだよね?
「楽しみって……。ぶっちゃけ、退屈だよ?」
「え!?そうなの?」
私はきょとんと答えた。
「まあ、一般的には退屈なんじゃないかな?」
やったことがないことだからワクワクするんだろうけど、退屈だよと言われるとどんなに退屈なのか余計に気になるな。
「ふーん。まあ、いいや!よろしくお願いします!!空亡達もちゃんと聞いていたほうがいい?」
「そうだね!一応、ここに所属する人間、妖怪全てに対して行う教育だからね。」
「なるほど。」
『承知した。』
―わかりました。―
「素直でいいなー!」
そんなこんなで、導入教育が始まった。
…………教育中………………
教育は滞りなく終了した。
教育内容としては、陰陽省の成り立ちから始まり、ここでのルール、色々な手順があること。出勤の打刻の仕方から電話の出方まで必要なことは細かいところまで教えてもらった。
最後には、
「まあ、陰陽師の人たちは基本外周りだから、あんまり関係ないけどねー!」
っと今までの教育がほとんど無意味であるとこを教えてくれた。今までの時間はなんだったのか。それでも規定らしくてちゃんとやらないといけないという会社のしがらみのようなところを垣間見た気がする。
確かに最初はワクワクしていたけど、終わってみると、退屈ではあったような気がする。それでも、パン屋しか経験したことのない私にとっては新鮮なものであった。慣れないと忘れそう……。
そんなこんなで、午前中が終了した。
これから昼休憩に入るようだ。
「未来ー!この辺よく知らないよね!?一緒にご飯行こうよ!」
私は東京なんてあまりこないから何があるかもわからない。正直、このお誘いは嬉しい。
「あ!ほんと!?ありがとう!行く行く!」
長老は大臣室に
近くに美味しい中華料理屋があるらしく、そこに連れていってもらうことになった。この場所から東京駅に出るルートは何ヶ所かあるらしい。受付の前で全ての道は合流するらしいが、何かあった時のために非常口は確保されている。お昼は入ってきた道とは違う道を出るみたいだ。不思議なことに自分達が壁から出るところは周りの人達に見えないようになっているみたいだ。扉が開く瞬間にその場所に意識がいかないような術式が組まれているようだ。便利だな。
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